マナーうんちく話677《可を見て進み、難を知りて退く》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:日常生活におけるマナー

昨日は打って変わって青空に恵まれ、寒いながらも春の気配がかすかに感じられる日になりましたね。

ところで春の語源は、「草木の根が張る頃だから張る」、「比較的天気のいい日が多いから「晴る」」等色々な説がありますが、定かではありません。

しかしいずれも前向きで心が弾む意味が多いようです。
春の訪れを感じるのは人それぞれですが、皆様は如何でしょうか?

ショーウインドウの飾り付け。
道行く人のファッション。
卒業式。
それとも、春を告げる花が咲いた時でしょうか。

ちなみに、この時期はうららかな春を告げる鳥とされている鶯(ウグイス)が山里で鳴き始める頃です。

鶯は全国に生息しており、ホーホケキョと泣く事でよく知られておりますから、すぐにわかります。

万葉集にも梅と共によく登場しているので、昔から日本人には春の鳥としてなじみが深かったようですね。
花札を楽しむ方は「梅に鶯」の絵をご存知だと思います。

加えて、選挙などでマイクを握る女性の事を「ウグイス嬢」と呼びますが、これはウグイスの鳴き声のように美しい声に例えた言い方です。

『可を見て進み、難(かたき)を知りて退く』と言う言葉が中国に有ります
素直に解釈して頂ければいいですが、有利と判断したら進み、不利と判断したら退くと言う意味です。

ごく常識なことですが、これがなかなか難しいわけですが如何でしょうか?

明確な勝算も無いのにやみくもに突き進んだり、不利だと判断して退くのは卑怯だと言う捉え方です。

つまりTPOに応じて、適切な判断が大切であると言うことです。

進めそうな状況で有れば進み、立ち止った方がいいと判断したらひと呼吸し、さらに、ヤバイ!と思ったら勇気を持って退散することです。

このことは「商売」でも「婚活」でも同じことが言えます。
賭け事もしかりですね。

色々な場面において、「進むばかりが能ではない。無理するな!」と言う事を教えてくれる言葉です。

マナーも同じ事が言えます。
不必要に形ばかりにこだわる事無く、TPOに応じて、柔軟に対応する事が出来れば嬉しいですね。

そのためには、先ず基本をきちんと理解し、合理的な理由を把握し、加えて、状況に応じて臨機応変に対応することです。

特に日本のマナーは、西洋のマナーと異なり、他者に対する思いやりの心を基盤に柔軟性を重視します。不必要に形にこだわることなく、可を見たら進み、難を知ったら退くと言うことですね。

鶯はよく梅とセットにされます。
しかし、鶯は梅の木だけにとまるわけではありません。
柳の木にも、桜の木にもとまって美しい声を発します。
折々の状況判断が上手な鳥です。

ちなみに「梅に鶯」とは、鶯は梅の木にとまると言う意味ではありません。
既に述べましたが、梅は「春告げ花」、鶯は「春告げ鳥」と言われるように、両者は共に春の到来を告げてくれる嬉しい使者です。

つまり、美しく調和する物、似たもの同士、取り合わせの良い物の例えで、和食と日本酒、フランス料理とワインのようなものです。


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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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