マナーうんちく話673《「立春」と「慶事用熨斗袋」≫
科学万能の時代でも、日常生活の中には迷信じみた事が根強く生きています。
「そんなもんは迷信だ」と一笑される人もいますが、多くの人は気にかけているのが現状です。
例えば、結婚式は殆どの人が仏滅を避け、大安吉日を希望します。大安の日に挙げれば幸せになり、仏滅の日に上げたら不幸になると言う科学的な根拠やデータはありませんが、9割くらいの人が気にかけています。
また、チョッとしたお祝いで、祝儀袋に3000円入れる人はいても、4000円入れる人はあまりいません。3000円より4000円の方が1000円多いわけですが、頂く方もなぜか嬉しくありませんね。今回は「お祝いごとに関するタブー」を集めてみましたので参考にして下さい。
《数字に関するタブー》
最もよく知られているのが「4」と「9」ですね。理由は「死」や「苦」に繋るからです。ちなみに、日本では昔から偶数と奇数では奇数が格式が高いと言われています。従って「苦」を連想させる「9」を除いた「3と5と7」を吉の数字として捉えています。
但し、奇数の一番上の9は最高に縁起がいいとする捉え方もあります。
例えば「五節句」の内、9月9日の「重陽の節句」は、9が二つ重なるから一番格式が高いとされています。
また、偶数でも「8」は「末広がり」を連想させるので、祝い事には適していると言われております。
《お祝い品のタブー》
・火に関する物や火を連想させる赤色の物⇒新築祝いには不適とされています。
・日本茶⇒弔事に使用されるので祝い事には不適とされています。
・櫛⇒「苦」と「死」を連想させるから、贈り物には不適とされています。
・ネックレス・ネクタイ⇒束縛を意味するので、気にする人も多いようです。
・靴・靴下⇒踏みつける意味があるので、親しい人以外は不適とされています。
・包丁・はさみ⇒「切る」を連想させるので祝い事には不適とされています。
・鏡台⇒割れるから、贈り物には不適とされています。
・ハンカチ⇒漢字で書くと「手巾」になり「手切れ」につながります。
《定年退職》
・本人の希望を聞いてあげるのがベターですがギフト券や商品券がお勧めです。
紅白蝶結びで熨斗つきですが、表書きは「退職祝い」「御餞別」も間違いではないと思いますが、個人的には「お礼」「謹呈」がお勧めです。なぜなら退職を大変さみしいと思っている人も多いので「お祝い」は感心しません。
《その他のタブー》
・現金⇒皆が一番喜びますが、上司や目上の人には贈りません。但し災害見舞や昇進して海外に赴任するような場合はいいでしょう。
・肌に付ける物は余程親密な仲以外では要注意です。
・熨斗⇒「熨斗鮑」の略でアワビを乾燥して干したものですから、生臭い匂いがあります。従って魚介類に熨斗を付けると生臭い匂いが倍増するので注意して下さい。仏事でも生臭い物は嫌われます。
タブー(taboo)は禁忌(きんき)とも言われ、「○○をしてはいけないと禁止されている事柄」や「○○すべきであるという決まり事」で、広義の文化的規範で、マナーの基になっているケースも多々ありますがその捉え方は10人10色です。
例えば、ハンカチや靴下などは日常生活の必需品でもあり、デパート等でも典型的な贈答用品として扱われています。さらにネクタイのようなものは数多くあると嬉しいものです。
それらを不必要にタブーと捉えるか、素直に嬉しいと感じるかは、相手がどのような人かを判断することが大切ですね。つまり、贈り物をする時には、「なぜ贈り物をするのかという具体的な理由」と、「なぜこの品物を選んだのかという理由」をキチンと表現することが大切です。
タブーはどこの国や民族、さらにどんな宗教にも存在します。
それなりの知識と、相手の立場になり心を込めることと、思いを適切に表現することです。贈る時に言葉や文字で表現することが大切で、言葉不足は誤解を招くこともあります。
例えば、「本日はお日柄もよろしく!」と言うのは、「私たちはあなた達の幸せを祈念して日柄まで気にしているよ」と言う意味で、言葉に発して始めて思いが伝わります。