基礎から指南!接客・接遇マナー2≪接客・接遇の意味と意義≫
「和を似って貴しとなす」。
何事をするにせよ、「皆で仲良く、いさかいを起こさないようにするのが良い!」という、日本人に最も知られている教えですね。
聖徳太子が制定した、「十七条の憲法」の第一条に出て来る言葉で、日本で最初に成文化された礼儀作法だと言われております。
さらに、この意味の真意は、「重要事項を決定するに当たり、独断ではなく、色々な人と熱心に議論して決めることが大事ですよ!」と言う事にあります。
すなわち「話しあい絶対主義」です。
十七条の憲法が制定されて以来、1400年以上経過した現在でも、日本の職場には、この「和する」と言う精神が生き続けているのですね。
前回、職場で「身嗜み」を決めるに当たっては、「皆で議論して決めて下さい」と申しましたが、まさにこのことです。
今、情報化や国際化、あるいは高齢化が急速な勢いで進展すると共に、何もかも複雑多様になっています。
従って、多くの職場でも、様々な専門知識を持った人や、老若男女が集っています。役所、病院、学校、ホテル、企業しかりです。
加えて、正社員、非正規社員、派遣社員、パート、アルバイト等など雇用形態が非常に複雑になっております。
しかし、多くの場合、その専門分野、同姓、年代層、置かれている立場などでの連携は保てていても、それはあくまで「縦割り」で有り、専門性、立場、年代層などを超えた「横の協力関係」は、非常に希薄になっているのが実情です。
さらに、仕事の合理化を追求するあまり、無駄話が無くなり、変わりにパソコンで情報のやり取りをするようになりましたから、なおさらです。
ここに様々な矛盾が発生します。
加えて、最近では世代間のギャップが深刻な課題になっています。
「最近の新入社員、特に平成生まれの新入社員は何を考えているのか理解に苦しむ」「平成の社員とどのように接したら良いか解らない」「雇用形態がバラバラだから職場の和が保てない」と言う相談をよく受けます。
「時代の流れだから仕方がない」ではすまされない深刻な問題ですね。
こうなると、職場の雰囲気はますます悪化し、最終的にはお客様にそのしわ寄せが行き、結果、クレームの発生や売り上げの低下に繋がります。
私は長年ホテルで接客の仕事に携わっていましたが、接客の仕事をする時には常に、「ホテルを代表している」と言う思いでお客様に接してきました。
だから、個人の接客技術を向上させるだけでなく、他のスタッフのとの良好な連携を保つことを、とても大切にしてきました。
言葉にするにはとても簡単ですが、非常な努力が必要です。
しかし、決して避けて通ることはできません。
なぜなら、これが売り上げに直結するからです。
チームワークが良ければ、当然、働いているスタッフが、仕事にも身が入るし、やりがいも出てきます。そして、それがお客様に好結果をもたらします。
さらに、何かあれば、ホテルを挙げてバックアップ体制が取れる環境は、お客様が一番安心できます。
それは当然、顧客満足に繋がり、売り上げアップに多大な貢献します。
数値化することが難しく、目に見えない部分だけに、認識が薄いようですが、何より大切なことです。
次回は「チームワークを良好にする具体策」について触れます。