マナーうんちく話511≪逆らいしぐさ、前置き言葉にご注意あれ!≫
江戸端唄の一つに、「梅は咲いたか 桜はまだかいな・・・・。」、「梅にしようか 桜にしよかいな・・・。」というのがありますが、「晴れの国」岡山では、紅梅・白梅が今頃満開になりましたが、東京では桜が満開とか・・・。
いずれにせよ、春本番を迎えた今、卒業・入学・進学・就職・転勤などで転出される人も多いと思います。
見知らぬ土地で、見知らぬ人との生活や仕事は、期待は有るものの、多くの不安が伴うのも無理は有りません。
梅や桜が咲く時期はまさに、「別れ」と「出会い」の季節ですが、「不安」が「期待」にかわるように、「異動する人」と、「迎え入れる側」が、それぞれ素敵なマナーを発揮して頂きたいものです。
また、「送りだす側」のマナーですが、これについては「マナーうんちく話211《送別会と花束》」「マナーうんちく話210《「仰げば尊し」と「卒業祝い」》」を参考にして下さい。
そして、迎え入れる側は、新たに入って来た人が少しでも早く、組織や地域に溶け込めるよう応援して下さい。
特に、新入社員の場合は、仕事もそうですが、社会人として新たにスタートを切ったわけで、全てが初めてなので、より細かな配慮が必要です。
しかし、相手が白紙の状態だけに、むしろやり易い面もあります。
しかし問題は、異動で新たに仲間に加わった人との人間関係です。
新入社員とは、かなり事情が違います。
異動で来た人は、働く環境は変わるものの、仕事に関しては、経験・知識・スキルもあり、それなりに仕事に対する考え方もあるので、決して白紙の状態ではありません。
こうなると、最大の課題は人間関係です。
従って、ここで浮上してくるのがマナーです。
勿論、異動で入って来る人は、いかに仕事ができようとも、その職場では始めてですから、謙虚な態度が必要だと言うのは申すまでもありません。
「郷に入れば郷に従え」と言う諺が有ります。
郷とは「場所」のことです。つまり、そこの土地や、そこの環境に入れば、そこの、しきたりや、やり方に従いなさいと言うことです。
加えて、過剰意識や自己主張を戒める言葉でもあります。
特に海外に赴任される場合は、特に大切にして頂きたい諺です。
たとえ、不本意な異動であっても、その移動を、自分を磨くチャンスと前向きに捉え、新天地で良好な人間関係を築き、そこでの仕事に早く慣れ、成果を上げる事が大切です。
そして、「迎える側のマナー」ですが、ポイントは「相手の立場に立つ」ことです。相手を尊重することも大切です。思いやりの心で優しく接すれば、大変喜ばれるはずです。
特に、右も左もわからないところでは、ほんの些細な事でも、優しく接してもらえば嬉しいものです。
「移動して温かく受け入れてもらう」、あるいは「移動してきた人を受け入れる」時こそ、互いに素敵なマナーを発揮することが特に大切だと考えます。
このコラムでもしばし触れていますが、こんな時こそ、「先手必勝の挨拶」を心掛けて下さい。これだけで、共に非常に気持ち良いスタートが切れます。
「相手の立場に立つ」と言うマナーの理念と、「先手必勝の挨拶」と言うマナーの基本を大切にして下さい。
今ではめっきり、耳にしたり、口にしたりすることが無くなりましたが、「おせっかい焼き」と言う言葉が有ります。
余計な世話や、して欲しくない世話を焼かれると言う意味で、ともすれば敬遠されがちですが、この言葉が消えてしまう職場も社会も、味気ないと私は思うのですが、如何でしょうか?