マナーうんちく話521≪お心肥し≫
ビジネスでもプライベートでも他人の部屋に入ることは日常茶飯事ですが、他人の部屋に入る以上は、家庭でも職場でも、それなりのマナーが有ります。
自信ありますか?
洋室にせよ和室にせよ、全て大丈夫!と言う人は少ないと思いますが、これはとても大切なマナーですので、是非参考にして下さい。
先ず、ドアの有る部屋に入る時には、ノックをします。
この時、こぶしの甲は自分の方で、指側でノックされる事をお勧めします。
そしてノックの回数ですが、あなたは何回しますか?
ノックは、外国から入ったマナーですから、そんなに目くじらを立てることもないと思いますが、トイレの場合は2回、親しい人の場合は3回がお勧めです。
また、家庭でも、親が子どもの部屋に入る時にも当然ノックは必要です。
勿論、逆もしかりです。
このような時のノックは3回されたらいいと思います。
家庭でも、トイレのノックは2回、部屋の場合は3回と決められたら如何でしょうか?
但し、部屋の中で何か異変が感じられる場合は、この限りではなく、たたき続ける必要が有るかもしれませんね。
ノックをしたら、相手の返事を待ちます。
「どうぞ」の返事が有ったら、「失礼いたします」と掛け声をして、ドアを開けて入ります。
明けたドアは当然閉めなくてはいけません。
ドアの方を向いて、完全にドアが閉まるまで見届けることがポイントです。
ここは、とても大切なポイントです。
用事がすみ、退室する際は、ドアの外に出て、相手の方を向いて、挨拶をして、静かにドアを閉めます。
次に、和室の場合はどうでしょうか?
これは、洋室のように簡単にはいきませんが、是非覚えて頂きたいものです。
和室の襖や障子は、日本の平和な社会背景から生まれた、日本が世界に誇る文化です。
従って、その開け・閉(た)ても、優雅に行いたいものです。
基本的には、和室に入る時には、座って入る事をお勧めします。
襖の前で正座して、「失礼いたします」と声をかけます。
ちなみに、昔は、「失礼いたします」と声を掛けるのではなく、襖の前で「コホン」と咳払いをして、「これから部屋に入ります」という合図をしていたそうです。
欧米では、考えられないような、実に奥ゆかしいマナーが存在したわけです。
次に、3度に渡り襖を開けて入るわけですが、詳しくは、マナーうんちく話《和室における礼儀・作法》を参考にして下さい。
農耕文化を礎とし、平和な社会を築いた日本では、紙とか細い木だけで、部屋と部屋の仕切りを作りました。
そして、その仕切りには鍵が有りません。
これは、鍵をかけなくても、そこに襖や障子が有るだけで、無断で入らないと言う暗黙のルールが存在していたからです。
加えて、部屋に入る時には、部屋の中の人に対し、最高の思いやりの心を発揮した、大変美しい入室の作法を作りましたが、残念ながら、今では、すっかり薄れてしまいました。
時代の流れと、諦めてしまうには、余りにも勿体ない作法です。
いつまでも、残し、伝えたいものです。