マナーうんちく話521≪お心肥し≫
立冬も過ぎ、木枯らしの吹く季節になると思いだす懐かしい曲があります。
かきねの かきねの まがりかど たきびだ たきびだ おちばたき
「あたろうか」「あたろうよ」 きたかぜ ぴいぷう ふいている
さざんか さざんか さいたみち たきびだ たきびだ おちばたき
「あたろうか」「あたろうよ」 しもやけ おててが もうかゆい
こがらし こがらし さむいみち たきびだ たきびだ おちばたき
「あたろうか」「あたろうよ」 そうだん しながら あるいていく
年配の方は良くご存知だと思いますが、「炊き火の歌」です。
戦中から戦後間もない頃に、広く愛唱された曲です。
私の小学時代によく歌った記憶があります。
当時は、晩秋から初冬にかけて、この曲がピッタリの雰囲気でしたから、自然に口ずさんだものです。
今でも、サザンカの花を見ると、当時の懐かしさと、焚き火の暖かさが思い浮かびます。
炊き火は、エアコンの暖かさとは違い、本当に暖かいものです。
落ち葉を掃いたり、その落ち葉を焼くようなことはなくなりましたが、考えてみれば、当時、炊き火の中で焼き芋をしたことを、懐かしいと思えること自体が、幸せだと感じます。
しかし、この歌にも、実は悲しい思い出が存在します。
戦時中の話ですので、平和な時代に生まれ育った私達には、想像さえできないことです。
戦火が厳しくなってくると、この歌を歌うことが禁じられました。
その理由は、炊き火は敵機の爆撃の的になるからです。
平和な時代には文化が栄えると言いますが、逆に戦争は文化を滅ぼします。
改めて、平和な時代に生きていることに感謝したいものです。
ところで、花が少なくなるこの季節に、ひときわ華やかに彩りを添えてくれる花が「サザンカ」ではないでしょうか?
漢字では「山茶花」と書きます。中国では、葉がお茶になる「山のお茶の木」を「山茶」といい、その木に咲く花だから「山茶花」と称したそうです。
椿科の花だけに、椿と勘違いする人が多いようですが、椿と山茶花の違いがお分かりでしょうか?
見分け方は簡単です。
椿はカップ状にさきますが、山茶花は平たく咲きます。
さらに椿は花ごと纏めてポトリと落ちますが、山茶花は花弁がバラバラに落ちます。
日本人は、昔から多くの花を愛でてきました。
桜も、椿も、菊も、品種改良も盛んに行われ、多くの種類があります。
菊で人形を作る国です。
また、「春の七草」も有れば、「秋の七草」も有ります。前者は食用で、後者は観賞用です。
「花の好きな人に悪人なし」と言われます。
合理的な根拠が有るか否かはわかりませんが、自然の木々や草花の名前を知っている人は、とても優しくて奥ゆかしい人に思います。
花や木の名前に通じている人は、自然に対しても思いやりが持てる人です。
ちなみに、山茶花の「花言葉」は、「ひたむきの愛」です。
山眠る頃に、人々の心を和ませてくれる、大変貴重に花に、相応しい花言葉です。
四季折々に咲く花を愛で、季節の移り変わりをキャッチできる人は、マナー美人で、心の優しい人です。
そして、一輪ざしの水を、小まめに変える人は最高です。