マナーうんちく話364≪歩き食い≫

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:マナーの心得

その国の食習慣というものは、本来、非常に長い時間をかけて変化していくものですが、最近の激しい変化には、楽観を許さないものがあるようです。

「ここまでやるか」というような、利便性の追求と、グルメブームによる外食、及び出来あいモノです。

まだ稲刈りも終わってないのに、早くも「おせち料理」商戦がスタートしました。年々豪華になるのは素晴らしいことですが、家庭の味がすっかり薄れていくのは寂しい限りですね。

正月は、自分の家のご先祖様の里帰りの日です。
そのご先祖様をお迎えして、ご先祖様と共に家族が揃って、両端が細くなっている「祝い箸」で頂く、特別な料理が「おせち料理」です。

だからこそ、高いお金をかけるより、手間暇や愛情を込めて手作りされるのもお勧めです。

ところで、最近頻繁に、大人が、コンビニなどで買ったおにぎりやパンを食べ歩きしている光景を目にしますが、皆さんはどのように思われますか?

ある調査では、食べ歩きは「ハシタナイ」「みっともない」「見苦しい」と思う厳格で否定派と、「時間の節約になる」「楽しそう」等の寛容で肯定派に分かれているようです。

「ハシタナイ」も「みっともない」も、「見苦しい」も、度を過ぎれば迷惑になりますが、この境は極めてあいまいで、時と場合と感じる人により、まちまちですね。

「歩き喰い」や「歩き飲み」は、何年頃から始まったか定かではありませんが、全国各地に「歩行者天国」ができてからだと思います。

さらに「フライドチキン」や「ハンバーガー」等のファーストフードの出現が、これに拍車をかけたようです。

それに伴い、今や、これまでは日常生活の中では、はしたないとされてきた「歩き飲み」「歩き喰い」「歩き煙草」「歩き携帯」が日常になってきました。

ただ、「歩き煙草」は、条例などで禁止されている所もあるので、これは特に注意が必要です。

日本ではもともと、花や月を愛でながら飲食を共にするという、世界でも大変ユニークな文化が存在します。
しかし、歩きながら、モノを食べたり、飲んだりする文化は有りません。

そして、日本の礼儀・作法は1回1動作を重んじています。
すなわち、○○しながら、××しないと言うことです。

例えば、シャンパンで乾杯する時に、シャンパングラスを持ったまま起立しません。先ず起立します。そしてシャンパングラスを持ちます。

従って、歩きながらの飲み・食いは、マナーの視点では感心しません。
歩行者天国やイベント会場は別として、「歩く行為」と「食べる・飲む行為」は、別々にするということです。

早い話し、食べると言う行為に、「心を込める」という意味で、この精神は大切にしたいと思います。「歩き携帯」「歩きたばこ」しかりです。

利便性の追求に大きな価値が置かれる中、たまには、時間や真心をしっかりかけて、料理や服などを、大切な人のために作ることもいいものです。







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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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