マナーうんちく話499≪習慣は第二の天性なり≫
コーヒーに紅茶に日本茶、一幅のお茶は、喉をうるおしてくれると共に、気分を爽やかにしてくれます。
遠い道のりを経て他家を訪ねた時や、商談を控えて緊張している時等に、笑顔と共に美味しいお茶を出されると、思わず心がなごみ、ホッとします。
特に日本人にとっては、日本茶と縁が深いだけに、美味しい日本茶を戴いたら、その職場や家庭の有り様までが伺えます。
しかし、蕎麦やうどんや日本料理の店でも、食事の前に出されたお茶が、極端に薄味だったり、不味かったりすると、いくら店の構えが豪華でも、後の料理に期待が持てません。
家庭や職場でもしかりです。
裏千家や表千家のような本格的な茶道でなくとも、お客様が来られた時に、もてなしとして出すお茶に、常に心配りができている職場や家庭は素敵です。
職場の責任者を始め職場全体に気品を感じますし、家庭においても奥様は勿論ご主人の人柄までが伺えます。
コーヒーや紅茶は明治維新後に日本にもたらされましたが、一般に普及したのは戦後間もない頃ですので、人により好き嫌いがあります。また、洋食にはマッチしますが、和食にはあまり合わない気がします。
しかし、日本茶は何百年もの長い間、日本人に慣れ親しんだ飲み物です。
だから日本には、お茶に関する諺が多々あります。
「日常茶飯事」「茶々をいれる」「茶を濁す」「朝茶は七里帰っても飲め」「酒は酒屋に、茶は茶屋に」「鬼も十八、番茶も出花」等など・・・。
さらに、日本茶には「淹れる」「煎れる」「点てる(たてる)」等の表現があり、同じお茶を入れるだけでも、様々な意味があります。
改めて日本茶の奥深さを感じます。
ちなみに、「淹れる」は沸騰したお湯の中に茶葉をいれる意味ですが、「煎れる」は一旦沸騰したお湯を火からおろして急須に入れた茶葉に注ぎ浸すと言う意味です。
また、「点てる」と言う意味は、抹茶に湯を加え茶筅(ちゃせん)で手早く混ぜることです。
いずれも読み方も書き方も難しいですが、私は「お茶を入れる」と優しく表現しています。
なぜなら、この「入れる」には、急須に茶場を入れて、お茶を作り、それを急須から茶碗に入れると言う、全体的な意味があるからです。
いずれにせよ、客人をもてなす時に、真心をこめて美味しいお茶を入れ、それを優しい笑顔と共に出せる人は最高のマナー美人です。
日本のお茶は種類により入れ方も様々ですが、次の要領でマナー美人を目指して下さい。
一般的には、「お湯を沸かす」⇒「茶器に湯を入れて暖める」⇒「その湯を捨てる」⇒「茶器に茶葉を入れる」⇒「お湯の温度を調整する(煎茶は約80℃・玉露は約60度℃・番茶は沸騰したお湯)」⇒「茶葉の量に合わせ湯を注ぐ」⇒「茶碗に注ぐ」。以上ですが、茶碗に入れるお茶の分量は、大体65%から70%位までがお勧めです。
男性も女性も是非参考にして、お客様や大切な人に、美味しいお茶を入れてあげて下さい。