マナーうんちく話2231《幸せを呼ぶ挨拶の心得と作法《和顔愛語 先意承問》
今日は9月の第3月曜日で「敬老の日」です。
もともとは9月15日だったのが、月曜日を敬老の日の祝日にして、3連休を作り、色々な意味で活性化を図る意図のようですが、「こどもの日」や「母の日」や「父の日」に比べ、若い人にはなじみが薄いように思います。
しかし、長年に渡り、社会に貢献してこられたお年寄りに敬意を表し、長寿を共に祝う敬老の日は、全国津々浦々、多彩な行事が行われ、お年寄りは最も脚光を浴びる時です。
確かに、仕事にも家族にも恵まれ、加齢を華麗に生きているお年寄りも多いですが、そうかと言って、日本の社会に、感謝といたわりの敬老精神が根付いているかと言えば、大変心細い気がします。
日本の終戦直後の平均寿命は先進国中最下位でした。
それを、持ち前の不屈の精神で、経済を立て直し、収入を増やし、食を充実させ、栄養状態を良好に保ち、さらに医療制度や医療技術を向上させ、半世紀もせぬうちに日本は、世界一の長寿国になり、100歳以上の高齢者は全国で5万人を超え、今や人生100歳時代になりました。
「長寿」は人類永遠のテーマで、それが達成できたことは、大変嬉しくも有り、目出度くも有ります。
しかし、裏を返せば、長寿社会は高齢者が多い社会です。
すなわち、今日本は、世界が経験したことのない、高齢者の多い社会になっているわけです。その割合は四人に一人です。
従って、高齢者と上手に接することは、とても重要なことです。
また、高齢者が生涯現役で溌剌と生きるか、ショボクレテ生きるかでは雲泥の差があります。
日本には、あちらこちらに「姥捨て伝説」が存在します。
「老人を姨捨山に捨てなさい!」という殿様の命に背き、老人を密かに家の中に匿っていた息子がいました。
有る日、理不尽な命令を発したとの様の国が隣国から攻められ、「灰で編んだ縄を差し出せ」と無理難題を強いられました。
殿様が途方に暮れていると、家の中に匿われている老人は息子に、「縄をできる限り固く結び、それを燃やしなさい」と知恵を授けます。
この老人の知恵のお陰で、灰で編んだ縄ができ国は救われました。
殿様は、改めて老人の知恵に敬服し、以後老人を大事にしたという物語です。
今、高齢者を取り巻く環境は、「虐待」「ホームレス」「孤独死」「無縁仏」「介護難民」等とお世辞にも恵まれているとは言えません。
多くの子供や孫に囲まれても、襖一枚の孤独な高齢者もいます。
さらに、一人暮らしの高齢者も大いに気になります。
老後の不安は、「お金」と「医療」と「介護」です。
しかし、これらに関する社会保障制度はお寒い限りです。
国を長年支えてきた高齢者を、軽んじる社会は健全ではありません。
高齢者が、豊富な経験や知識や知恵を兼ね備えた、「人生の達人」として尊ばれる社会を、政治の力で築きあげないといけない。と思うわけです。
江戸時代のような、「古老」とか「長老」という尊称は別として、机上の理論より、長年の経験を重んじた、「亀の甲より年の功」を大切にし、世界に前例のない超高齢社会を、明るく照らしていきたいものです。