マナーうんちく話2231《幸せを呼ぶ挨拶の心得と作法《和顔愛語 先意承問》
マナーうんちく話216《お辞儀の知識とマナー》
世界中には様々な挨拶が存在します。
握手、抱擁、キス、手を合わせる、頭を下げる等など。
マナーは、その国々の文化・歴史・国民性・風土・宗教等により、その表現方法が異なると何度もお話ししましたが、食事のマナーと共に挨拶のマナーはその典型です
日本人は、外国人が抱き合ったりキスをしたりして挨拶をしていたらおかしく思うかもしれませんが、外国人は、日本人が何度も何度も頭を下げ合って挨拶をしていたらおかしく思うかもしれませんね。
しかし、なにはともあれ、日本の挨拶の基本は「お辞儀」です。
従って、自国の挨拶であるお辞儀を正しく理解するとともに、美しいお辞儀を心がける事が大切だと感じます。日本では、人に会ったらまずお辞儀です。
ところで、日本のお辞儀は、たいていの場合は言葉を発して頭を下げますが、時と場合によっては、言葉を使用せずに相手に対して感謝や敬意を表現することができる、とてもユニークなコミュニケーションの一種です。例えば葬儀の時には、例え言葉を交わさなくても、目が有ったら、頭を下げるだけで気持ちが伝わります。
そして、その歴史は大変古く、飛鳥から奈良時代に中国スタイルを真似たのが始まりで、やがて家屋の構造や生活習慣の変化、さらに畳や茶の湯の文化の影響を受け、日本人固有のスタイルが確立されたと考えられています。
ここで、お辞儀の大きな特徴である、「頭を下げる理由」を説明しておきます。
頭はとても大切な部分でありまた弱いところでもあります。それを相手に無条件で差し出すと言うことは、それだけ相手に対し信頼や敬意を抱いていることになります。さらに相手より上に立たないという謙虚さの表れでもあります。
日本は、平安時代に約400年間、江戸時代に約250年間、戦争のない平和な国を実現した国です。250年も400年も国内に紛争がなかった国はありません。さらに、何世紀にも渡り世界一の治安が行き届いている国です。日本家屋の象徴である襖や障子には鍵がありません。このような社会背景が有ればこそ生まれた挨拶が「お辞儀」なのですね。
さらにお辞儀には、「座礼」と「立礼」が有ります。
「座礼」は正式には、扇子を膝の前に置いて行います。
以前、「畳」や「正座」のお話をしましたが、そちらをぜひ参考にして下さい。
一方「立礼」は、「会釈」「敬礼」「最敬礼」が有ります。
神様・仏様に対しては、90度位頭を下げる最敬礼をしますが、その他は下げる相手、下げる目的等で角度の調整をされたらいいと思います。
また、友人・後輩・同僚等と行き会う時には軽い会釈程度でいいですが、地位の高い人とか大切なお客さんと行き会う時に、数歩手前で立ち止まり、廊下や道の脇に控え、近づいてきたら、こちらは敬礼、相手は会釈程度のお辞儀をします。そして相手が通り過ぎるまでそのままの状態を保ちます。これが「行き会いの礼」です。
職場や学校などで、これを実行されたら好感度がグーンとアップします。
しかし、お辞儀はむやみやたらに頭を下げればよいモノではありません。
その場、その場の状況に応じ、適切な判断をすることが大切です。
例えば、他家を訪問した時には、玄関で最初のお辞儀をし、部屋に通された時に丁寧なお辞儀をし、そしてお暇する時にもう一度お辞儀をするのが基本です。
要はポイントをしっかり掴むことです。
世界に前例のない平和な社会背景と、相手に対する敬意・謙虚な態度の表れとして生まれた日本のお辞儀は、世界に誇れるコミュニケーションツールです。
だから、お辞儀をする時には、正しく、そして美しくして頂きたいと思います。
人と会った時の第一印象はとても大切です。
この第一印象のほとんどは、お辞儀の仕方が占めます。
・相手の目を見る。
・速やかに状態を倒す(頭を下げる)。
・そのままの状態をしばらく保つ。
・ゆっくり上体を起こし(頭を上げる)、もう一度相手を見る。
頭を下げる角度の浅い・深いに関係なく、頭と背筋と腰が一直線になることがポイントです。
以上が美しいお辞儀のポイントです。ぜひ実行してみて下さい。