マナーうんちく話509≪「女しぐさ」と「男しぐさ」≫
寒中の頃、コートファッションをお楽しみのことと思います。
日本は本当にモノの豊かな国になり、食べ物・着るものには贅が尽くされております。
まさに世界屈指の、「飽食の国」であり、「美食の国」であり、「ファッション大国」ですね。
実にすばらしいことです。
そして、それらに美しいマナーが伴えば、さらにすばらしいと思うのですが・・・。
何を食べているか?また、何を着ているか?ではマナーに差は出ません。
しかし、食べ方、着方にはその人の品格が全て反映されます。
そこで、今回はコートに関するマナーの解説です。
先ず、コートを着て個人宅や事業所等を訪問する時に、「どこでコートを脱ぐのか?」ということですが、洋風の家と和風の家では若干捉え方が異なりますが、日本では改まった訪問の場合は、玄関に入る前に外で脱ぐことをお勧めします。
理由は、《手土産の渡し方のコラム》でもお話ししたように、風呂敷や紙袋と同じ理屈で、コートも、塵や埃(ちりやほこり)が付着しているので、それらを部屋に入れないためです。
従って、外でコートを脱いだら、たたんで中に入りますが、たたむ時も裏返しにたたみます。(袖はそのまま)企業訪問の時や飲食店に入る時等も同じ扱いですね。
「コートは外で着る服」「コートは塵や埃がつくもの」と認識して下さい。
ただ最近では、自宅や自分の勤務する事業所などでは、コートを着たまま、出入りする方が圧倒的に多いようですが、そのような場合は、せめて脱いだコートに気配りをして頂きたいものです。ロッカーやコート掛けにキチンと掛けて下さい。その際、形を整え、ボタンを2か所くらいかけておくとよいでしょう。コートに対する貴方の優しい思いやりです。
お洒落にこだわる人ほど、その服への思いやりの心も大切にして下さい。
次に、帰る時には、挨拶を済ませて外に出てコートを着て下さい。
但し訪問先の人が、「どうぞこちらでコートを着て下さい」と言えば、「ありがとうございます」「お言葉に甘えさせていただきます」等とお礼を述べそれに従います。但しマフラーや手袋は外に出ての着用がお勧めです。
また、友達の家で、遠慮がいらない時には、「外は寒いからこちらでコートを着させていただきます」等と一言断って着られたら良いですね。
日本式では以上のようなマナーですが、欧米式は少し様子が異なります。
次回、靴やブーツの品の良いマナーに触れますが、日本の家には玄関に下駄箱が有ります。従って日本式のマナーもこれに沿うような形になりますが、欧米諸国では、玄関で靴を脱ぎません。寒い時期にコートを着て訪問した時には、「家の人がコートを預かります」と言ってくれたら、日本で言う「どうぞ中におはいり下さい」というような意味になります。従って、この言葉と共にコートを脱がれたら良いと思います。
さらに「レディーファースト」の原則も有ります。
高級レストランやホテル等では、係の人が「コートをお預かりいたします」と言って、コートは脱がしてくれますのでそれに任せて下さい。
私も長年のホテル勤務で、多くのお客様のコートのお世話をいたしました。
その時に、「ありがとう」「お願いします」の言葉が有れば嬉しいですね。ここにその人の品格が出ます。
お気に入りのコートを着たら、着たり・脱いだりする際のマナーもぜひ身につけて、訪問の時や華やかな場面で上品に振舞って下さい。次回はさらに難しい、玄関先での靴やブーツのマナーです。