マナーうんちく話161≪礼装・正装の意味とマナー≫

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:日常生活におけるマナー

【冠婚葬祭の知識とマナー37】 冠婚葬祭時における服装の意味とマナー

「冠婚葬祭シリーズのコラム」はまだまだ続きますが、今回は、よくある疑問の一つ「今時の冠婚葬祭時における服装のマナー」について触れておきます。冒頭に「今時」とあえて付け加えたのは、服装のマナーは、時代と共にめざましく変化しているからです。

律令制度が布かれていた頃にはすでに礼服と言うものが定められており、重要な儀式の際には用いられているようでした。さらに武士の時代に入ると時代劇でおなじみのように、服装のスタイルも大きく変化し、江戸時代になると、白無垢や留袖、振袖が登場し現在に至っています。ちなみに江戸時代の服装の特徴は、公家、武士、町人とで様式が大きく異なっていたということです。

そして、明治になると劇的な変化を遂げます。いわゆる「和装」から「洋装」への移行です。ただ和装から洋装への転換は、決してスムーズには行なわれてはいません。

明治新政府も国交を進めるに当たり、和装で臨むか洋装にするか、岩倉具視らが中心となり激しい議論が取り交わされました。結果は「洋服派」が勝利し、政府高官等の上流階級の間で次第に洋装スタイルが広まり、1945年の終戦を境に、一般庶民の間にも、西洋の服装が急激に流れ込んできました。

ヨーロッパ発祥の洋服が、和服の国に押し掛けてきたわけです。
そしてつい最近までは、国と国との話し合いの席では、気候風土・文化・歴史・宗教等に関わらず、スーツが定番になっているようです。

ところで「礼装」「正装」というと、どんなイメージをお持ちでしょうか?
簡単に説明すると次の通りです。
礼装⇒儀式に出席する時に着る、礼儀正しい服装。
正装⇒正式な服装で、ある程度決められた服装。

具体的には、今時の礼装とは、結婚式の時によく見かける羽織・袴、モーニング、燕尾服、黒留袖、振袖、ドレス等を指し、冠婚葬祭時などの装いです。
また、正装とは中学生や高校生などの制服がこれに当たります。
但し、学生服着用は校則などで定められているケースが多いですが、結婚式や葬儀などでは絶対にこれを着なければいけないという決まりは有りません。要は、着る人が、どのように相手のことを思っているかです。ここがポイントになってくると思います。

マナーとは「思いやりの心」「尊敬の心」であり、それを具体的に表すことですが、服装のマナーも同じ理屈です。相手に対する「思いやり」や「敬意」を大切にすることです。

よく「フォオーマルな服装」と表現されますが、その目的は、「思いやり」や「敬意」を表すために着用するものです。自分を着飾ることより、「私はあなたのことを大切に思っています」という気持ちを表すものです。
それと共に、日常生活の中で着用している服でなく、特別な日に着る服なので、より厳粛な気持ちを醸し出すことになります。

今、「クールビズ」「ウォオームビズ」が流行し、正装の概念が公私ともすっかり変わってしまいました。しかしスーツ、ワンピース、タキシードにせよ、改らたまった衣服を着るということは、それだけ気持ちを引き締めることになります。だから岩倉具視の時代から、議会、役所、教育現場等で130年もの長きに渡り、暑い・寒いに関わらずネクタイ着用が基本になってきたのではないでしょうか。その意味においても公の場では改まった服装が好ましいと私は思いますが、古い考え方でしょうか?省エネと気持ちを引き締めることは別問題だと考えています。


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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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