マナーうんちく話499≪習慣は第二の天性なり≫
昨年は「無縁社会」が大きな課題になりました。今年は「震災」に遭いました。
このような状況下で、改めて「絆づくり」「思いやりの心」「結婚の必要性」が浮上しているようです。
いずれも「気配り(気遣い)」「心配り(心遣い)」が大切です。
これらの言葉、日頃よく耳にしたり、口にしたりしますが、その違いをご存知でしょうか?
辞書には「気遣い⇒あれこれと気おつかうこと。心づかい」
「気配り⇒手抜かりのないように注意すること。心づかい」
「心遣い⇒あれこれと気おつかうこと。心配り」
「心配り⇒気おつかうこと、気づかい、こころづかい」
とあり、明解な使い分けは、これからは判断しづらいですね。
それでは、具体的な使い方を見てみましょう。
○全てのお客様には《気遣い・気配り・心遣い・心配り》をして下さいね。
○あなたのとった行動は《気遣い・気配り・心遣い・心配り》に欠けている。
○失敗しないよう、くれぐれも《気遣い・気配り》して下さいね。
○温かい《心遣い・心配り・気遣い》誠にありがとうございました。
の、ようになり、これでもはっきりと理解できませんね。
要は、これらの言葉を発する側が、どんな意図を持っているかだと思います。
職場で使用する場合は、全員が、どのような意味でその言葉が使用されたのか、きちんと共有することが大切だと思います。
例えば、上司が部下たちに、お客さんには常に「気配り」「心配り」するようにといっても、これは具体性に欠けると思います。
同じような事が、「エチケット」「マナー」でも言えます。
職場では「常にエチケット、マナーを守って下さい」と言っても、エチケットとはなに?マナーとはなに?どう違うの?ということになります。
言葉の意味を理解し、言い方を決めた方がいいですね。
ちなみに私の場合は、「気配り=気遣い」と「心配り=心遣い」として、「気配り(気遣い)」と「心配り(心遣い)」を分けて使用します。
例えば、結婚披露宴の仕事をする時、「気配り」は、フォーク・ナイフやグラス類が間違いなくセッティングされているか否か、引き出物は正しく配られているかどうかについて注意することです。これはお金のうちですね。間違えたらこちら側の責任になります。早い話、気配りとは、不都合や失敗が生じないように気おつけることです。必要に応じてマニュアル化も可能です。アルバイトの人もキャプテンクラスの人も全員に課せられます。
一方、「心配り」は、新郎・新婦等への精神的な配慮です。新郎が、キチンと新婦をエスコートできるか否か、お披楽喜に当たりお礼の言葉をキチンと言えるか否かを心配してあげることです。これはお金には関係ありません。新郎が新婦をエスコートできるか否かは、こちらのせいではありません。当然マニュアル化できるようなことではありません。要は、相手をいかに思いやられるかですね。親が子どもに持つ無償の愛情のようなものです。気配りより高度な配慮を要求されます。アルバイトの人に求めるのは無理です。
従って、人間関係を良好にするには、「気配り」より「心配り」の方が大切なようですね。そこで、もう少し詳しく「心配り」について解説しておきます。
○心配り(心遣い)のポイント
・常に相手に対し、思いやりの心を持つ
・相手の負担にならないように、さりげなく発揮する
○心配り(心遣い)が出来るようになるには
・相手に関心を抱く
・相手をよく観察する
気配り、心配り、気遣い、心遣い等のように、言葉に不必要にとらわれる必要はないと思いますが、相手に対するちょっとした思いやりが、時として相手のハートを射止めることにもなります。次回もこれに関連したお話です。