マナーうんちく話269≪顧客満足より従業員満足≫
マナーうんちく話49《接客・接遇の基本的マナー》
接客・接遇マナー⑦「接客・接遇に必要な基本的マナー」
これまでは、接客・接遇に関し、比較的本やマニュアルに書かれてないような事柄に触れてきましたが、基本は大切ですので基本的マナーのお話をします。
お客様に接する時「見た目」はとても大切です。外見、装いが問われます。お客様に好感をもたれる要因は、「顔立ち」より「表情」とか「全体的雰囲気」だと思いますが、一概には言えません。お客様にも好みが有ります。
また「人は第一印象がとても大切」と言われますが、第一印象がすべてではありません。しかし、何かと選択肢が多い現在では、最初の印象が悪ければよそに行かれるケースも多々あります。限られた時間内で、お客様に安心感や親近感を持っていただく努力は接客・接遇に携わる人にとっては必要です。
第一印象を決定づける要因は、目から、耳から、言葉からですが、圧倒的に「目からの要因」が大のようです。いずれにせよ、最初に好感を持っていただくことはとても大切です。このコラム欄でも「好感度を向上させるスキル」を以前取り上げましたけど、大切なことですのでここでも触れておきます。
但し、好感度が上がればいいものではありません。先ずお客様に好感を持っていただき、次に『どのように接していくか?』、ここがポイントです。
くれぐれも本末転倒しないでください。
◆みだしなみ
「身だしなみ」は第一印象を決める大きな要素です。お洒落と異なり「社会性」を有します。ポイントは「清潔感」「周りとのバランス(職場の雰囲気にふさわしい)」そして「機能性」です。医療機関でしたら先ず清潔感あふれる服装で、動作がしやすい服装がいいですね。ブティックならお洒落な感じでしょうか。
さらに「髪型」も大きな要素です。女性の髪形は基本的には「纏め髪」がおすすめです。お辞儀をしても乱れないためと、仕事中や食事中にも髪に触れることがないようにするためです。男性の口髭も雰囲気が大きく異なり、人により好き嫌いが明確に分かれます。さらに靴、腕時計、靴下、ストッキング、アクセサリーも適切な判断が大切です。
ちなみにこれも平松の個人的見解ですが・・・
最近夏場の「クールビズファッション」。教師や議員までもがノーネクタイ!
更に女性の「リクルートスーツ」。判で押したように皆さん「黒のスーツ」。
神主のように、有職故実の伝統を引き継ぐ衣装には歴史の重みさえ感じますが、コマーシャルメッセージに流された一様なファッションには、あまり親しみが感じられません。皆様は如何でしょうか?
◆挨拶のマナー
挨拶についてもこのコラム欄で何度も取り上げましたが、今まで触れなかったことについてお話します。
前々回の、「接客・接遇の腕試し」でお話ししましたが、先ずお客様が来られたら、お客様の方を向いて、目を合わせます。次に笑顔を添えて挨拶します。
特に接客・接遇においては、挨拶は、「お客様の来店・来訪を歓迎します」と言う気持ちを最初に伝える大事な動作で有り、その職場の姿勢やスタッフ教育のレベルを表します。相手の目を見て、姿勢を正して行って下さい。
午前10時までなら「お早うございます」で、これは「朝が早くて良いですね」と言う意味の短縮語です。10時から午後5時までは「今日は」ですね。この意味は「今日はご機嫌いかがですか?」と言う意味の短縮語です。午後5時過ぎたら「今晩は」になりますが、「今晩がご機嫌いかがですか」と言う意味です。
いずれもお客様の方を向いて、目を合わせ、笑顔を添えて、がポイントです。
「いらっしゃいませ」の意味は、「お金を使って買い物をして頂くためにお越しいただきありがとうございます」「ようこそお越しくださいました」「私はここにいますのでご要の際はお気軽にお申し付けください」等の意味があります。
お辞儀は、和と洋ではかなり異なります。
日本のお辞儀は、「座礼」と「立礼」がありますが、和室で接客・接遇する時には、和室にふさわしい挨拶が有ります。障子やふすまの開け閉てもしかりです。
要は日本独特の「和の心」を理解して頂くことが必要です。
場合によっては椅子に腰かけたままお辞儀をするケースもありますか、これは「掛け礼」といいます。
洋室にお邪魔する時には「ノック」をします。2回のノックはトイレでのノックです。お客様や大切な人のいる部屋に入る時には、3回、4回のノックがおすすめです。
和室に入る時には、ノックはしませんね。今では「失礼いたします」と声をかけますが、昔の人は障子や襖の前で「コホン」と軽いせき払いをして、自分の存在を中の人に伝えていました。。これが、「これから障子やふすまを開けますよ」と言う意味で、相手に対する心配りです。そして襖の開け閉ては3回で行うのが基本です。先ず5センチくらいあけて、さらに半分開け、最後にすべて開けます。相手に対する徹底した思いやりの心が表現されています。加えて、凛とした姿勢での美しさも有ります。
但し襖を3度に渡り手を変え開けることはなじまない人もいますので、和室の場合は、座って両手で行うことをお勧めします。但しじゅうたんを敷いている和室は立ったままでいいと思います。
木と紙ででき、鍵も付いていない襖。よその国の人は甚だ不用心だと思われるかもしれませんが、実はこの襖には「目に見えない、相互間の信頼と心配り」という日本人ならではの考え方があります。接遇・接客に携わっている方には是非この美しい伝統をご理解いただければと思います。
呉服の販売、旅館の接客・接遇に携わる人、関心のある人は、年に数回、「和室でのもてなしのマナーと和食のテーブルマナー講座」を開催していますのでぜひ参加下さい。「岡山マイベストプロの講座案内」で順次告知していく予定にしていますので参考にして下さい。
◆表情と態度のマナー
これは何と言っても「美しい笑顔」と「正しい姿勢」です。
笑顔の効能はすでに医学的にも証明されていますが、日本人は苦手な人が圧倒的に多いのが現状です。しかし美しい笑顔の出せる人は、全てにおいて相手から好感を持たれます。意識することが必要ですが、笑顔教室等に参加されプロから指導を受けることもお勧めです。
「幸せだから笑顔になるのではなく、笑顔があるからハッピーになる」そうです。「笑う門には福来る」ですね。一理あります。
お客様の話を聴く態度も大切です。ポイントは相手の目を見て、頷きながら、相槌を打ちながら、終わりに復唱ができれば上出来です。真摯な態度で耳を傾ける姿勢が大切です。
動作は「1回1動作」がお勧めです。「ながら動作」は接客・接遇時には感心しません。1回1動作とは、例えばシャンパングラスで乾杯する時、グラスを持ったまま起立するのではなく、先ず起立します。次にグラスを持ちます。一つ一つの動作に心を込めるということと、その動作を美しくこなすことです。
また「美しいしぐさ」は手に現れます。日常生活で意識するようにして下さい。
「姿勢」は、見た目にも健康にもとても大切です。日常生活で心がけて下さい。
壁に後頭部からかかとまでしっかりつけてみて下さい。その姿勢が、あなたの正しい姿勢です。その姿勢で、頭はピノキオのように釣られた感じで歩く練習をお勧めします。
街中を歩く時にも常に意識して、信号で立ち止まった時こそ、姿勢を再度立て直す良い機会です。
以上のことを先ずは3週間心がけて下さい。