マナーうんちく話2229《気軽に楽しみたい飲み会やお酌文化とその効能》
梅雨が終わり夏になることを「梅雨明け」もしくは「出梅」と言いますが、
今年は3連休の初日でタイミングが良かったです。
このコラム欄で、梅雨入りに際して、「江戸しぐさと傘かしげ」について書きましたが、
梅雨明けの今回は、「江戸しぐさと夏の健康管理」について触れてみます。
江戸時代の庶民の夏の健康管理!といえば具体的にどのようなことを
イメージされますか?
実は江戸しぐさの「しぐさ」とは「思草」と書き、
「思っていることが行動に出る」ことです。
その江戸しぐさですが、実は非常に多く1000前後存在したといわれております。
人口が大変密集していた江戸では、互いが快適に生活できるよう、
他者と自分自身に対して、思いやりの精神を発揮していたようです。
そして江戸しぐさの中でも「自己管理」はとても重要事項で、
食事前の手洗い、人が使用した食器は熱湯で洗う等、
衛生面での自己管理も徹底していたそうです。
また夏の健康管理としては、昼寝の時間をいつもより30分位多めに取り、
夏バテしないよう心がけていたとか・・・
さらに、涼を取るための打ち水、うちわ、風鈴、浴衣、すだれ、舟遊び、
さらに栄養面では甘酒、ウナギ等など、
江戸時代の人々の夏の生活の知恵は、
数えきれないくらいありますが、
基本的には、
暑いときはあまり働かず「のんびり」と、
それでも暑ければひたすら「我慢」あるのみのようでした。
のんびりとした生き方は真似てみたいですが、
我慢はすっかり苦手になってしまいました。
皆さまは如何でしょうか。
私は高校・専門学校・大学などで学生にマナー指導や人生講話をしますが
その時は、美辞麗句を並びたてるのではなく、
現実の社会の厳しさ、そして、
「若い時に苦労すること」と「我慢することの大切さ」を説きます。
「我慢は美徳」といったら、「戦争中でもあるまいし何を申すか」と
お叱りを受けるかもしれませんが、
梅雨が明けてちょっと暑くなれば、
すぐにエアコンに頼ってしまう現代人こそ、
一番我慢することの必要性を再認識していただきたいと感じます。
美しい響きを持つ現代風の「エコ」と、
マイナスのイメージを持つ昔風の「我慢」には、
受ける印象に大きな格差がありますが、
なにもかも「エコ」という言葉に踊らされるより、
「我慢」することも、時には大切にしたいものです。
今年の夏はいろいろな意味において、
江戸時代の人々の夏の粋なしぐさを
見習ってみるのもいいかもしれません。