どうして虐待は親子代々繰り返されるのか ~虐待は構造的な問題~

宮本章太郎

宮本章太郎

テーマ:心理学コラム・心理トレーニング、テクニック

親子関係において、虐待を受けて育った子は自分の子にも虐待を行ってしまうという
虐待の負の連鎖についてよく言われますが
その要因と言いますか、負の連鎖の起こる構造の一端を掴めたのではないかと思いますので
今回はご紹介するとともに解説していきたいと思います。

どうして虐待されて育った子は自分の子にも虐待をしてしまうのかについてですが
そもそも考えていただきたいポイントが
“親も完璧な人間ではない。むしろ不完全である”ということです。

子どもにとっては親は絶対服従であり
何らの間違いのない存在なんですね。
(そもそも何が間違いかもわからず、親に間違いがあるなんて意識もない)

その親が言うことに間違いはありませんし
従わなければ自分の身に危険が及びます。

それが例え虐待であったとしても
子にとっては従うことが全てなのです。
嫌がって、苦しくて反発することはあっても
親の言う事(しつけや虐待など)に抵抗する事は考えにありません。

親に守ってもらえない(裏切る)ことは
自分の命も危ぶまれるからです。

親が自分の身を危険に晒すなんて思ってもいませんから。

ここまでは何となくでもわかると思いますが
ではどうして虐待を受けて育った子が自分の子にも同じように虐待をしてしまうのかですが
先程述べましたように、親といっても完璧な存在ではないということ。

その親もまた同じように完璧ではないですし
その親も同じように完璧ではない。

そしてここで自分自身のことを考えてみたいのですが
自分って完璧なんでしょうか?
親として完成された状態で子育て・育児を行っている?

決してそうではありませんよね。

子から親を見ると完璧な存在で否定(存在を拒否)できませんが
いざ自分が親になってみると完璧な状態でないまま
満たされないままの状態である時突然親という重責を担わされてしまうわけです。

親になることについて、子育てや育児を誰に習ってきたわけではありませんし
その手本になるのは自分の身に染み付いてきた自分の親の育て方でしかなく
自分は同じことをしないよう慎重に気をつけていたとしても
無意識の中に染み付いた習慣(自分が受けてきた体験)を無意識のうちに体現してしまうのです。

自分もまた自分の子に同じことを繰り返してしまうわけですが
自分の親もそうであったように、自分もまた完璧な親でも完璧な人間でもない。
その子もまた完璧な親として子育てなど始められるわけがなければ
こうして人は虐待の連鎖を“構造的に”繰り返してしまうんですね。

必ず虐待を繰り返すというわけではありませんが
この問題は構造的な問題ですから
虐待をしてしまうかしないかといった理屈ではなく
自然とそういう作り(構造)になってしまうということです。

この連鎖を食い止めようとするなら
虐待防止対策のような、行為を止めさせようとする手段としての方法では根本的な解決にはならず
(むしろ逆効果になるケースのほうが多いでしょう)
親も子も、それぞれ心を満たしてあげるようなサポート体制こそが必要でしょう。
(自己肯定感を育み、自信を育てる)

行為にではなく、“構造”に改善の目を向けるわけです。

ですので決して行為を行った個人を責めてしまうようなことは避けなければなりません。
責めたところで解決に至るわけではない。

もちろんサポート体制が整えられたところでたちまち連鎖が断ち切られたり
虐待がなくなるというわけではありませんが
人の心を癒やし構造を立て直していかなければ
この構造の問題はいつまで経っても修繕されることはないでしょう。

皆様も今回の記事を考える材料のヒントにして
ぜひ参考になさってくださいね。

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宮本章太郎(心理カウンセラー)

京都カウンセリングラウンジ

心の健康のみならず、メンタルに関連して起こる様々な身体への影響や健康に関する知識が豊富ですので、うつ対策や不眠症の改善といった、総合的な健康法についても心理学の観点からアドバイスと情報提供が可能です。

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