心理学における、優秀と有能の違い ~無能とは能力がないことではなく、歩みを共にしないことにあり~

宮本章太郎

宮本章太郎

テーマ:心理学コラム・心理トレーニング、テクニック

例えばあなたはどんな病気でもたちまち治してしまう名医だとしましょう。

そこに1人の患者さんがやって来て
「このまま生きてても苦しいだけだから、できるだけ苦しまずに自分を殺してくれ」と
治療を望まず死ぬことを選択する患者さんが居たら、あなたはどうしますか?

あなたの力なら簡単に病気を治すことは可能です。
しかし患者さんは治療を望んでいません。
死ぬことを望んでいるのです。

それでも患者さんの訴えに耳を貸さず、治療して病気を治してあげようとしますか?

つまりいくら問題を解決してあげる能力を持っていたとしても
それを望んでいない人の前では自分の能力(出来ること)など無力なのです。

病気は簡単に治すことは出来ても
その人が望んでいることを叶えてあげられるかどうかは別の問題で
自分の能力が必ず相手にとって役に立つとは限らないのです。

自分がこうしたい、こうしてあげたいという思いを捨てなければ
本当に相手にとってためになることはありません。

同じ楽にしてあげる目的だったとしても
患者さんの望む形で楽にしてあげるのか
それとも自分の思いを優先した形で楽にしてあげるのか
自分と相手との思いにスレ違いが生じれば、その手段はいずれの方法でも残酷なものにしかなりません。

歩みは共に進めなければ意味がないことがおわかりでしょうか?

心理カウンセリングでもカウンセラーの思いが優先してしまったらクライエント様に苦痛を与えますし(傷つけますし)
クライエント様ご本人も本当に解決や改善を望むなら
自分の思いだけを優先させるのではなく、心理カウンセラーと一緒に考えていく中で歩みを共にしなければ
どんなに優秀なカウンセラーだったり解決が容易な問題であったとしても
結果は残酷なものでしかなくなります。

これはどちらがどうという良し悪しの問題ではありません。
どちらも歩みを共にする気持ちがあるかどうか。
相手任せ、相手頼みでは何も解決しないのです。
それどころかより傷を深めてしまうだけになるのですから。

私もこれからも慎重に気をつけながら心理カウンセリングを心がけたいと思います。

もしあなたが望まれるなら、自分の思いを一方的にぶつけるだけでなく
私と一緒に歩みを共にしてまいりましょう。
その先に明るい未来が拓けていくのだと思いますよ。

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専門家

宮本章太郎(心理カウンセラー)

京都カウンセリングラウンジ

心の健康のみならず、メンタルに関連して起こる様々な身体への影響や健康に関する知識が豊富ですので、うつ対策や不眠症の改善といった、総合的な健康法についても心理学の観点からアドバイスと情報提供が可能です。

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