性差問題の意識と向き合い方 ~性差の意識をなくすことは文化や歴史を否定することにも~

宮本章太郎

宮本章太郎

テーマ:心理学コラム・心理トレーニング、テクニック

男女の違いやLGBTQなど、性差の違いを全て否定してしまうことは
これまで私たちが築いてきた文化や歴史を否定することであり
ひいては今の私たちという存在を否定してしまうことになると思うんですね。

近年はなるべく男女で格差をなくそうと
性別の違いを乗り越えた取り組みや社会活動が広がってますが
もちろんそのことは暮らしやすい世の中の実現としては望ましいのですが
しかしある部分の一面では、本当に全くなくしてしまうということは(性差の違いを完全に埋めてしまう)
必ずしも望ましいことばかりだとは言えないと思います。

コラムの最初に文化を否定することになると言いましたが
例えば伝統芸能について見てみると
男女関係の恋愛や心境を描いた文楽や物語が多く存在します。

そこには私たち人類がこれまで歩んできた歴史が蓄積されて
積み上げられてきたものがそうした文化となり
伝統芸能という形で今に残って伝わっているわけですね。

ですので現代の風潮である性差をなくしてしまうような意識は
そうした歴史や文化まで否定してしまうことになると考えるのです。

確かに差別意識や格差としての性差は取り払いたいものですが
それとは別に、歴史や文化における性差の違いまで何でも差別扱いし
問題視してしまうのはいかがなものでしょうか?

伝統芸能に限らず、文化には素晴らしい作品が数多く残され
今を生きる私たちに感動を伝えてくれたり
心が惹きつけられて魅了されますよね。

音楽や文学、骨董品や美術品でも、古い作品の虜になった経験はないでしょうか?

そのような伝統文化や歴史の中にはやはり男女という性差の違いがあり(存在し)
例えそれが現代の私たちから見れば男女差別のように映ったとしても
今の私たちの感覚で文化や歴史を捉えてはいけないと思うんですね。

現代は現代の抱える問題がある。
それを同じように同じ感覚、同じ視点で問題視して扱わないこと。

男女の格差やLGBTQなど性差の問題で生きづらさを感じ
悩まれている方のためにも差別意識は取り払っていく必要はありますが
だからといって何でもかんでも性差の違いを差別だと言って否定してしまうことは
歴史や文化という私たちが築いてきた(育んできた)心を否定することであり
ひいては今の自分という存在を否定することにもつながるのではないかと私は感じます。

依然として性差問題は難しい問題ですけども
この機会に文化や歴史に触れ、今の私たちにつながる性差という意識について
客観性を持って捉えながら受け止めたいものです。

何でも否定から始めてばかりでは
より良い社会の実現なんて遠のいてしまうのではないでしょうか?
その中で生きづらさの改善に向けて、問題との向き合い方を考えていく必要があると思います。

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宮本章太郎
専門家

宮本章太郎(心理カウンセラー)

京都カウンセリングラウンジ

心の健康のみならず、メンタルに関連して起こる様々な身体への影響や健康に関する知識が豊富ですので、うつ対策や不眠症の改善といった、総合的な健康法についても心理学の観点からアドバイスと情報提供が可能です。

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