無責任な安楽死の否定
京都でALSの女性が安楽死を望み
嘱託殺人によって医師の2人が逮捕される事件がありましたが
安楽死についてはこの手の事件が起こるたびにその是非について議論が活発になります。
賛否についてや議論の内容とは別に
安楽死について考える材料として皆様に参考にしていただきたいと思い
これまで様々な方のご相談をお伺いしてきて私が考える
安楽死に対する個人的な見解をお伝えしたいと思います。
安楽死が良いかどうかは別にして
私はとにかく法整備を進めるべきだと考えます。
つまりは法律がないから現行（日本国内）では安楽死が殺人になってしまうんですね。
本人が望んだ死（嘱託）であっても人殺しになってしまうんです。
しかし法律でしっかり認められていれば
安楽死（死の選択）は決して殺人ではありませんし
それで罪を問われることはないと思うんです。
もちろん法律で定められることは殺人であっても死を正当化できますので
偽装殺人や法を悪用して殺害を隠蔽されることがあってはならないことは前提ですが
安楽死や尊厳死など、本当に本人が望んで死を選択する（したい）という思いはあると思うんですね。
でなければ本当に望んで死を決行する場合
現在では自殺か嘱託殺人による死しか選択肢がないわけです。
安楽死はいけない、自殺もダメ。
だったら死のうとしたらどうしたら死ねるのでしょうか？
いずれにしても誰かが咎められるわけです。
もっと考えを飛躍すると
もうどうにでもなってしまえと自暴自棄になって
それこそ無差別殺傷事件などを起こして求刑による死刑を選ぶという方法もあり
何の罪もない人が大勢巻き添えになってしまうことも考えられます。
しかし安楽死が法律で認められていれば
本人が本当に死を望んだ場合に誰かが咎められるということはないと思うんですね。
本人も死を処方した人間も、そして世論としても誰も責められないのです。
（それでもやはり受け入れられないという風潮や考えは別にして）
当然のことながら、いくら法律で認められたとしても
決して最期まで諦めることなく、最後の最後まで生きる望みをつなげる努力は不可欠でありますが
私はいろんな方の苦しみのご相談をお受けしてきた中で
やはり死という選択肢も必要ではないかと考えるのです。
死を安易に選んでもらいたくないですし、もちろん安易に選ぶ人なんていないでしょう。
思いつめて思いつめて、それしか選択が残されなかった場合
ではいざ死を決行しようと思ったら現在の法律では全ての方法が認められないんです。
法律は人の死を否定してしまっているのです。
（これは生きることの強制であり、生き地獄の苦しみを与えていることにもなる）
私は安楽死を推奨しているわけではありません。
法律で認められているからと死を希望する方に勧めたいとも思いません。
法整備を進めて実際安楽死を処方する場合には
慎重に慎重を期す必要がありますが
今回は安楽死の是非（賛否）についてではなく、あくまでも考える材料として受け止めていただき
現行では法整備がなされてないからこそ死が全て否定され
誰かが咎められることになってしまうということを考えていただきたいのです。
（自殺でも嘱託でも誰かが罪の意識に苛まれる苦しみがあり、心から安心して死を受け入れられない）
人にはどうしても死を持ってしか回避できない苦しみがあると思うんですね。
それはわからない人にはわからないと思います。
いくら本人が望んだからといって全てを真に受けて死を推奨するのは避けなければいけませんが
選択しなくても良い方法を提供できるように最善を尽くすことを前提として
安楽死に対する法整備は私は必要だと思うのですが
皆様はどのようにお考えでしょうか？
（決して死を正当化するための法整備ではありません）
最後に、自分の思いや考えを上手く表現できているとは言えませんので
今回のコラムで不快な思いをされた方には本当に申し訳ありません。
何卒ご容赦、ご了承くださいませ。
