人は自分の心理にはあらがえない。だったら心理学を上手く利用してやればいい
私たちが人間そっくりな人形やロボットに違和感を感じるのは
ロボットには癖(クセ)がないからだ。
人は相手との対話やコミュニケーションの際
心理的な影響によって無意識による動作(つまりクセ)をしています。
動悸や心拍数の上昇、あるいは発汗などによって起こる無意識の身体反応や
動揺してるのを悟られないように注意をそらしたり
自分では抑えきれない無意識による身体反応のクセ。
このような人間特有のクセがロボットにはなく
ただ無機質に人間に近いそっくりな見た目と行動を行っているだけのロボットには
どことなく違和感を感じるんですね。
人には自分でもわからない“無意識の領域”があります。
しかしこの無意識の領域はロボットにはありません。
つまりロボットには“明らか(明確)”しかなく、人間のように“無意識”がないのです。
(無意識の一端が表に表れたものが、その人固有のクセだと言えるでしょう)
だから無意識のないロボットは人間とは違い、どこか違和感を感じるのです。
無意識とはその名の通り無意識(意識外)ですから
意識もできなければ無意識という概念自体がどういうものであるのか
そしてまた成り立つのかどうかすらもハッキリしないのです。(不確かである)
そんな無意識というものが存在することを発見できたのは
人類史上最も重要な発見だったと言っても過言ではありません。
無意識の概念や定義についてはともかく
こうした無意識の部分がないことが私たちがロボットに人間とは違う違和感を感じる
大きな要素なのではないでしょうか?
つまり無意識の解明が人間らしさの解明にも繋がると言ってもいいでしょう。
もっと物質的に言うとホルモンや細菌(微生物)など
人間を構成している要素が圧倒的に足りないと言えますが
人間は自分単一で成り立っているのではなく、あらゆる要素が重なって人間というものが構成されています。
ところがロボットは単一の部品を組み合わせて構成されている、いわば構造物なのです。
だから人間のような構成物とロボットのような構造物との違いに違和感を感じるのでしょう。
人が感じる人間臭さ(人間らしさや仕草)は、人間が演じて醸し出しているのではなく
ホルモンによって醸し出されているといったほうが近いかもしれません。
ホルモンによるニオイというのは嗅覚としてのニオイではなく
人間臭い、あるいは事件のニオイがするといったようなニオイであって
何かの香りがしたり匂いが漂ってくるようなニオイではありません。
フェロモンもそうですが、異性の香りに惹きつけられるというより
ホルモンとしてのニオイに惹きつけられるのです。
ですから女性の嗅覚が鋭いのも直感的なものであり
何も香りを嗅いで浮気を見破ったり、良い匂い(自分の好みの香り)がするから異性を好きになるのではありません。
女性は男性よりもホルモンを感じ取る能力としての嗅覚が優れているんですね。
(ただし実際の嗅覚、ニオイの嗅ぎ分け能力も高いと言えます)
少し話はそれましたが、このように人間は複数の構成要素によって成り立っていますが(人間という形を成している)
ロボットにはこれらの要素はなく、ロボットはロボットとして単一の物から成り立っていますから
いくらロボットが精巧に人間を模したところで、私たち人間がロボットに違和感を感じるのは当然だと言えるでしょう。
クセにしてもそうですが、そういった無意識から生じる情動のないロボットに対して
人間はロボットに他者と感じることはなく、人間にとってロボットはあくまで異物でしかありません。
きっとそこに人間とは違う、大きな違和感を感じるのだと思います。(埋められない差)
何か一つの要素で違いが決まるわけではありませんし
これから技術が進んで未来がどうなっていくのかわかりませんが
ロボットはロボットでしかなく、人間は人間のまま変わらないのではないでしょうか。
つまり人間が無意識を明らかにし(全て解明し)、全て計算によって行動するようになったとしたら
人間がロボット化してしまうのかもしれませんね。
しかし人間を構成している要素がありますから、きっとそれだけでは何も変わらないと思います。
人間を考えるって楽しいですね。
ロボット研究などを通して、私たち自身の研究に繋がってるというところもまた面白いものです。