認知症になるとどうなるのか?認知症の世界を感覚的に知る ~人の記憶の不確実性と認知症問題~

宮本章太郎

宮本章太郎

テーマ:心理学コラム・心理トレーニング、テクニック

まず基本的に、人は自分が認知してる範囲が世界の全てなんですね。

つまり認知出来る範囲が広ければ広いほど世界は広がり
狭ければ狭いほど世界は狭まるというわけです。

そして認知症になるとこの認知出来る範囲が極端に狭まり
その世界の中が全てであるかのような認識で生きてますから
本人にとってはやってない事はやってませんし、身に覚えがない事を人から言われても理解出来ません。

ですから認知症とは単に記憶力が低下するというよりも
文字通り認知機能の衰え(認知出来る範囲が狭まる事)によって起こる症状なんですね。
その証拠に昔の出来事などはよく憶えています。(物覚えは悪くても記憶力そのものが悪いのではない)

認知症は単なる記憶障害とは違うので自分の意思もしっかりしてますし
暴言など浴びせられたりすると尊厳も傷つきます。

自分が認知症だとわかってたりわかってなかったり人によって様々ですが
基本的に認知症の人の認識してる世界は健常者の感覚と同じだという事。
ただ徐々に認知機能が低下していくので健常者とは捉えられる感覚の範囲が違うだけであって
認知症の人は自分の認知出来る範囲で普通に生活しているのです。

認知機能とは記憶力の事ではなく、五感(感覚の全て)を使って認知する機能の事を言います。
把握力といえばわかりやすいでしょうか。
つまり物事を捉える能力であると言えるでしょう。

だから認知症は機能面以外では健常者と何ら変わらず普通に生活してるわけですが
このように考えていくと、実は健常者も認知症の世界の中で生きてるんですね。

そう、人は自分の認知出来る範囲が世界の全てであり
認知症、健常者問わず、自分の中では無意識に当たり前だと思ってる感覚こそが認知症の世界であり
実は自分は認知症ではないと思ってるだけで、本当は皆さんそれぞれ認知症の世界に生きてるのです。

つまり健常者が自分はまともだと思ってる感覚こそが認知症の人の捉えてる世界だという事。
(認知範囲内の世界)

健常者のように一見記憶がしっかりしてるようでも自分では気づいてないだけで
基本的に人は皆認知症だという事を誰も認知出来てないんですね。

人の記憶とはいかに曖昧で不確実なものであるかがおわかり頂けましたでしょうか。

そしたら健常者が認知してる範囲外にも認知出来てない感覚領域があり(認知外の世界)
この認知出来てる、出来てない感覚領域の違いが個人差を生み、それぞれに人間関係を築いてるわけです。

ですから人は必ずしも自分と同じ世界を見ているのではないという事。

そしてこれは人間には捉える事が困難な世界(認知しきれてない世界)が存在しているという事も示唆しています。

続きは長くなりますので次回にまたいでお話いたします。


京都カウンセリングラウンジ
宮本 章太郎



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