人間社会の中でどう生きていくのか ~iPS細胞の倫理会議から学んだ事~

宮本章太郎

宮本章太郎

テーマ:心理学コラム・心理トレーニング、テクニック

iPS細胞の倫理会議の中で
科学者や研究者は、自身の研究が世の役に立つものであり
良かれと思って取り組んでるんだけど
一般人からしたらその技術に
恐怖を感じてしまう事があるというような意見がありました。

つまり本人からしたら素晴らしいと思ってやってるような事でも
他の人には到底受け入れられない場合も多いにしてあるわけです。

例えば私なんかは科学者でも何でもありませんが
自閉症についての(そこから派生する分野の)心理学に取り組んでいます。
私は単に自閉症の心理学と言ってますが
これは自閉症についての、自閉症の人に特化した心理学ではありません。

私の言う自閉症とは、自閉症スペクトラムや広汎性発達障害に限らず
むしろ人の心の中に必ずある、自閉症の部分やその症状の事を指して言っているわけです。
なぜなら自閉症や心とは、脳機能そのものの事であり
中でも自閉症の心理学は、人の心理の根幹にある部分を扱っている心理学だからです。
それを私は自閉症の心理学と表現しているだけなんですね。

もちろん思い付きや適当に言ってるのではなく
心理学に関した取り組みに基づき
何が最適な表現であるかと考察した上で、選んで使っているのです。
もし他に最適な言葉があればいくらでもそちらに移行します。

ですので自閉症という言葉に惑わされなければ
ただ単に心理学(人間の心理について)の事を言ってるだけなのですが
一般の人は自閉症という言葉を聞いただけで
自閉症の人の心理、障害者に関しての心理、何それ怖いと
このように感じるのかもしれません。

何より自閉症の心理学は、人の深層心理の部分にまで踏み込んだ
未だかつて誰も取り組んだ事のない、新たな分野の心理学ですから
ちょうど未知との遭遇のように、何か得体の知れない物に恐怖を感じるのと同じように
真相や詳細を知らない内は恐怖を感じるのも仕方ないでしょう。
(今まではこの分野は、哲学が担っていたと言えるかもしれません。
自閉症の心理学は、更に踏み込んだものだと言えるでしょうか)

もし私の事を一般人のように思ってらっしゃるなら
見た目にも明らかに障害がある方や親族の方からは
五体満足なのに何だこの人は、あなたなんかに障害がある人の苦しみがわかるか
何もわかってないくせに知ったような事を言うなと
批判的な感情を持たれるかもしれませんね。

話はだいぶ逸れましたが
このように研究者は良かれと思って取り組んでるような事でも
自閉症の心理学やiPS細胞のように
一般の人からはただ怖がられるだけだったり
どうしても批判的に捉えられたりしてしまうので
正しい知識や情報を、いかにして最適な形で正確に伝えていくか
そしてまたわかりやすく伝えていく事が必要なんだと
倫理会議に参加して来て改めて感じました。

例えどんなに立派で崇高な思いがあったとしても
独り善がりは必ずしも人のためにはならない事を教えてくれる
良い教訓になったというわけですね。


京都カウンセリングラウンジ
宮本 章太郎



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