ビジネスチャンスを広げるためには―常にターゲットを明確にし「情報発信(アウトプット)」を継続する―
今日の目次
・いい商品であれば売れる、は幻想
・会計業界、進む二極化
・新興事務所と老舗事務所
・人間関係が希薄になってきた地域社会
・「最強の存在」になれるはずが・・
・顧客対応能力がレベルアップ
・新たな事業世界の構築
いい商品であれば売れる、は幻想
「いい商品であれば黙っていても売れるはずだ。」・・これは、昔からよく言われている商売上の考えであり、言葉です。商品さえ良ければ黙っていても人がそれを求めてやって来るに違いない、という、いかにも日本人らしい発想です。ただ、今の世の中、さすがにこれを「その通り。」という人は少なくなってきたのではないでしょうか。
というのは巷(ちまた)に、特に日本の場合、いい商品、優れた商品は溢れているからです。日本人の品質に対する厳しい審美眼の前では、その傾向は顕著と言えるでしょう。結果、いい商品でありさえすれば黙っていても売れる、というのはもう幻想にすぎない、とさえ言えると思います。
中には、「世の中に「売れる商品」というものはない。「売れる売り方」があるだけだ。」と言う人。或いは「いい商品が売れるのではない。売れる商品がいい商品なのだ。」と、極論する人まで出てきています。
会計業界、進む二極化
さて、このお話を私の業界に置き換えて考えてみました。会計人の業界ではどうでしょうか。
現在、会計事務所は2極化が進んでいると言われています。顧客の数をどんどん伸ばしている事務所と、どんどん減らしている事務所の2極化です。
売上を延ばしている事務所、減らしている事務所にはいろいろな要素や原因が考えられますが、それはいったいどんなものでしょうか。
まず、業績を伸ばしている事務所に例外なく言えるのは、現代的なテクノロジーを駆使しているということになります。ほぼ例外なく、SNSなどのデジタル媒体を活かして、自分の存在を誇示しています。
逆に売上を落としている事務所は、これまた例外なくそういった活動をほとんどしていません。つまり、その存在自体、知るすべがないのです。
もちろんそれだけが原因ではありませんが、大きな要素であることは間違いないところです。
新興事務所と老舗事務所
以下、上記のような現象を、二つのタイプの事務所に当てはめて考察したらどうなるでしょうか。
世の中に、資格を取って開業したばかりで、まだキャリアはないが、初めからHP(ホームページ)などは怠りなく作り、曲がりなりにもコツコツと「情報発信(アウトプット)」を始めた事務所があったとします。
一方で、もう何十年のキャリアを積み重ね、様々な税務の事例にもあたり、経験豊富ではあるけれどHPもなく特に何の「情報発信(アウトプット)」もやっていない事務所があったとします。
今後、どちらの事務所が売上を伸ばしていくでしょうか。まあ言うまでもないことですが、売上を伸ばしていくのは、前者のまだキャリアはないが「情報発信(アウトプット)」を怠りなく続けて行った事務所、ということになります。
人間関係が希薄になってきた地域社会
何故こんなことが起こるのでしょうか。これまた言うまでもないことですが、後者の事務所は、その存在を誰も知る由がないからです。「情報発信(アウトプット)」をしていなければ、キャリアがあろうがなかろうが、場数を踏んでいようがいまいが知られることはありません。知らなければ選びようがないのは自明の理なのです。
これに対して、「いや、そんなことはない。そもそも会計事務所は、昔から『口コミ』で選ばれてきた。HP程度で信頼を得られるものではない。」という意見の人もいるでしょう。このご意見は、冒頭の「いい商品なら売れるはずだ。」という考えに似ています。
確かに会計事務所の選択理由は、今でも『口コミ』が強力な媒体であることに変わりはありません。しかし、そのベースとなっている地域社会が急速に希薄なものになっていることを忘れてはいけません。
特に地方の場合、過疎化高齢化の波をもろに受けて、地縁血縁社会は今や崩壊寸前と言っても過言ではない状況です。そこだけに完全に依拠していたのでは、今後の新たな集客など望むべくもありません。
「最強の存在」になれるはずが・・
一方、デジタル系のテクノロジーを媒体とした世界はどうなっているかといえば、ほぼ一人1台ずつスマホを持ち、それを使いこなす時代になりつつあります。40代以下の若い世代は、個人間の情報交換だけではなく、普段からビジネスにもこういったツールを駆使しています。
以前は『口コミ』を補完する機能がHPなどのデジタル媒体だったのでしょうが、その地位はもはや逆転してしまいました。まずは、デジタル媒体に乗っかっていかなければ話にならない時代になったのです。
ということは、逆に歴史があり、様々な事例にも豊富に当たってきた会計事務所が、そのキャリアについてきちんと「情報発信(アウトプット)」を始めたならばそれは「最強の存在」ということになります。新興事務所には、そのキャリアがまだないからです。
ただ、「いい商品は黙っていても売れるはずだ」主義?のオールドタイプの事務所は、今でも驚くほど「情報発信(アウトプット)」をやっていません。したがってそこに長けた新興勢力にどんどん領域を犯されているのです。つまり、とても「もったいない」ことになっているのです。
顧客対応能力がレベルアップ
さて、長々と私の所属している業界を参考にしながらお話してきましたが、これは他のすべての業界にも言えることです。自分の事業が「いい商材」を持っていると自負しているのであれば、どんどん「情報発信(アウトプット)」をしていくべきです。そうしなければ「選ばれる」以前のポジションまでも到達しません。
更に「情報発信(アウトプット)」は、やがて「事業自動発展装置」としての機能も発揮し始めます。それは「情報発信(アウトプット)」に対する様々な反応(レスポンス)に応えているうちに、危機対応能力などの力がついてくるからにほかなりません。
例えば、急激に顧客が増えた場合、対応が雑になることもあり、それがクレームに繋がることが考えられます。滑り出しで顧客は増えたものの、そんな挫折が待っているかも知れないのです。
新たな事業世界の構築
ただ、仕事というのは、そういう試練を経て実力がついていくものです。とにもかくにも、まずは顧客がつかなければ始まりません。こちらか発信した情報に反応してくれた顧客に懸命に対応する過程で、様々なノウハウが身につき、こちらも成長するのです。
「いい商材」を持っている。だから「情報発信(アウトプット)」を行なってその売上アップに繋げる・・・この考え自体間違っている訳ではありません。ただ、そのレスポンスは「注文」だけとは限らない、ということです。想定外の様々な反応が帰ってくる可能性があるからです。その多様なレスポンスがまた事業を成長させるのです。
「いい商品なら売れるはず」という意識から一歩踏み出て、「情報発信(アウトプット)」をダイナミックに展開することで新たな事業世界の構築にチャレンジしてみて下さい。
以前はラジオでも「情報発信(アウトプット)」



