ぐぬぬ、いつか仕返しを・・―生意気“孫娘”との年の差バトルー

今日の目次
・小生意気な言動を仕掛けてくる孫娘
・「そうだよ。よく知っているね。」じゃねえよ！
・ちょっと高度な心理戦に出た
・このバトル、当面続く気配

小生意気な言動を仕掛けてくる孫娘

特にこれといった変化もないのが私の日常。にもかかわらず、先日こんなことがありました。
夏休みを利用して、東京に住む長女一家が帰省してきたのです。当然、うちに寝泊まりすることになります。今回はなんと10日間も滞在するという予定です。
孫たちに会えるのはうれしいのですが、いつもは静かな独り暮らしの身にとって、あの喧騒が10日間も続くのかと思うといささか頭が痛くなります。とはいえ、もちろんそんなことはおくびにも出さず、笑って出迎えました。
孫は8歳の女の子と5歳の男の子です。下の男の子は、まさにやんちゃ盛りで、こっちの言うことなどちっとも聞きやしません。ひたすら、キャアキャア走り回っているだけです。
上の子は、自分が少し大人びてきたことを自覚してか、女の子らしく最近ちょっとおしゃまなで生意気な言動も垣間見えるようになってきました。（今回、そこが後で問題になるのですが・・）
特に、真面目人間だらけの一族の中で、唯一冗談ばかり飛ばしているふざけた存在である私には、なんだかんだと、小生意気な言動を仕掛けてくるのです。こっちも負けずにジョーク交じりのお返しをすることが多くなります。

「そうだよ。よく知っているね。」じゃねえよ！

さて、そんな長女一家が、東京の手土産をもって平日の私の事務所に挨拶に来ました。今回の帰省に際して、事務所のスタッフに顔見世、挨拶、ご訪問というわけです。
私の娘やその旦那である義理の息子などが、事務所の管理職スタッフと挨拶を交わしている間、8歳の孫娘がトコトコとこっちにやってきました。こちらの席では、うちの女子社員がパソコンの画面に向かって仕事をしていました。
すると、孫の女の子がその女子社員に話しかけます。
「ねえ、ねえお姉さん。」
すると女子社員は手を止めて、微笑みながら孫の方を向き答えます。
「なあに？」
とそこで、孫が衝撃の質問を発したではありませんか。
「ねえ、じいじは事務所にいるときもボオーっとしているの？」
私はあわてました。
『な、なんちゅうことをのたまうのだ、この子は、まったく！・・・でもきっと社員は「そんなことないよ。おじいちゃんは事務所では偉い人なんだよ。」くらいは答えてくれるだろう・・』
と、私が頭の中でそんな思いを巡らしている間に女子社員が答えます。
「そうだよ。よく知っているね。」
私は完全にズッコケてしまいました。
『こ、こら！お前までなんちゅうことを言うんだ、まったく。』
心の中で叫びます。
二人は、そんな私を意に介することもなく
「やっぱりそうなんだね、アハハ」
とケラケラ笑っています。
「ったくもう、こっちに来なさい。」
私は、孫と女子社員を引き離しました。孫は
「やっぱりそうなんだ。じいじはどこでもボオーっとしてんだね。」
と、嬉しそうです。
私は地団駄を踏みます。
『うう、ぐぬぬ、この生意気な小娘め！いつか仕返しをしてやるからな。』
と、心の中で誓ったのでした。

ちょっと高度な心理戦に出た

すると、復讐の機会は意外に早くやってきました。
先日の一件など全く忘れたかのように、その後、孫たちとの田舎生活はしばし続きます。ふとしたとき、くだんの8歳の孫娘が私に聞いてきました。
「ねえ、ねえ。じいじは私のこと好き？」
よくある子供の質問です。
私は答えます。
「さあ、どうかな。よくわかんない。」
孫娘が少し慌てます。当然、他の大人と同じように「大好きだよ。」と答えてくれると信じていたからにほかなりません。
「ええっ、どうして？どうして？私はじいじのこと大好きだよ。ねえ、じいじも私のこと好きだよね？」
再び聞いてきます。
「さあ、どうだろう。考え中。」
と、今度も少し意地悪く答えます。
すると、敵は作戦を変えてきました。
「じゃあさ、じゃあさ。ママのこと好き？」ママとは母親である長女のことです。
「うん、好きだよ。」と私。
「じゃあ、パパは？」パパとはこの子の父親。つまり私の義理の息子です。
「うん好きだよ。」と私。
「じゃあ、ばあばは？」ばあばとは私のカミさんのことです。
「もちろん好きだよ。」と私。
その他、周りの身近な人間を一人一人あげて、好きかどうか聞いてきます。私はみんな「好きだよ。」と答えます。
そして、最後に
「じゃあ、私のことも好き？」と最後の最後に自分を入れて聞いてきました。
私は答えます。
「うーん、微妙。」
すると、孫はこの「繰り返し自動誘導系尋問効果」も効き目がなかったことにガックリきて
「え、どうして？どうして？じいじはなんでそんなに意地悪なの！」
と、今度は半分泣き出さんばかりの様子になります。
そこで私はようやく
「うそうそ。○○のことも、もちろん大好きだよ。」
と、やっと孫が期待する答えを伝えたのでした。

このバトル、当面続く気配

なんとも他愛のないやり取りに見えるでしょうが、これでも、お互いそれなりにちょっとシビアな駆け引きを含んだ心理戦なのです。とはいえ、こんなアホみたいなコミュニケーションが成立するのは、この孫にとって周りの大人の中でもおそらく私だけでしょう。
察するに、この孫は私の中の不良性を見抜いていて、『じいじって面白い奴だ。』と踏んでいるのかも知れません。実際、以前そんなことを口にもしていました。
私のカミさん、つまりばあばは、ただひたすら優しい存在です。だから、孫たちは、ばあばのことも大好きです。なおかつ、極めて真面目かつ自己犠牲をいとわない人なので、無条件に信頼しリスペクトもしていることでしょう。
それに比べて『じいじの方はどうも当てにならない。いつも冗談ばかり言っていて、我まま勝手な人みたいだし、信頼するのもどうだかなあ。でもなんか面白い。周りにこんな人いないよなあ。』といったところでしょうか。
はたしてそんな存在でいいのか？！と思わなくもないのですが、今さら無理して真面目なふりをしたり、ベタベタと優しくしたりなんてできないし、する気もありません。というわけで、生意気小娘の孫との微妙な駆け引き交じりの心理戦、年の差を越えたバトルは当面続いて行きそうな気配です。



こうして遊んでいるときはいいんですが・・