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「恋愛」を参考にして「情報発信(アウトプット)」の本質を考えてみる―「置き換え」で見えてくる世界―

海江田博士

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テーマ:「情報発信(アウトプット)」戦略について

今日の目次
「愛の言葉より戯言(たわごと)から」ですと
・口説きのハードルを下げること
置き換えてみたらどうなるか
他者頼みではリスクが高い
平常心が発揮できるように

「愛の言葉より戯言(たわごと)から」ですと

私はこれまで「情報発信(アウトプット)」の重要性についてずっと述べてきました。その中身としては、まずコンテンツ、それから手段、媒体、持続性・・・等々、何が大事なポイントなのか、どう対処すべきか、といった点をお伝えしてきたつもりです。ただ、今振り返ってみると、その内容については、少々とっつきにくい固いものだったのではないかと思っています。
今回は、私の述べてきたことを、ちょっとくだけた感じで、或る人の意見をサンプルにして、楽しく解説してみたいと思っています。なかなか面白い切り口だな、と思ったので、ひとつの考え方として読んでみて下さい。
前置きが長くなりました。以前、ある女性のエッセイを読んだ時のことですが、彼女の指摘に「ヘぇー、なるほどそうなのか!そんなものなんだ!」と思ったのでご紹介します。
著者は、鈴木涼美さん、慶応大学卒、日経記者を経た現在フリーライターの女性です。彼女が、ある雑誌に書いていた「愛の言葉より戯言(たわごと)から」というタイトルのエッセイの中の一文です。男女のちょっとした駆け引きの機微について書いた恋愛論のようなものです。

・口説きのハードルを下げること
―本当に愛する女は一人でいい、なんていうのはご立派な思想だが、たとえそうであっても誘い、口説く女はたくさんいていい。愛の言葉は、ここぞというときのためにとっておくべきものではなく、常日頃から振りまいて磨きをかける類のものである。(中略)
これは殿方には理解しがたいことかもしれないが、女は自分を口説く男が「きっとこれまでたくさんの女を口説き落としてきたんだろうな」と思わせることにそれほど不快感はない。私だけで感動するのはより深く結ばれた後であって、「うわ、きっとこの人、女を口説いたこともないんだろうな」というオンリーワン感は全く必要がない。(中略)
人間からスマートさを奪う恋愛という魔物に打ち勝つには日々の積み重ねしかないのだから、美しい人を見たら声をかけて褒める、好感の持てる女性を食事に誘うといったことはせめて20回やって初めて様になる、と思って、まずは今日の仕事の終わりに、コリド-街のバーで素敵な女性を口説くところから始めてみませんか。―


置き換えてみたらどうなるか

これは、私にとって軽く衝撃的な提言でした。通常、真面目な男性であれば、ほぼこの逆に考えているのではないでしょうか。恋愛においては、一途さ、「オンリーワン感」こそが一番大事なんだと。ところが、鈴木女史いわく、それを受ける立場の女性の方は、案外そう思っていない、というのです。
彼女の恋愛論については大いに興味のあるところなのですが、ここではそこのところをあまり深く追求していても仕方がないので、この理屈をビジネスに置き換えて考えてみました。つまり、女性に声をかけることを、ビジネス上の「情報発信(アウトプット)」に置き換えてみたのです。
先の彼女の文章をそのまま引用すれば、次のようになるのではないでしょうか。
―ビジネス上の大きな成果を上げたいというハードルを克服するためには、日々の積み重ねしかないのだから、これはいいと思う情報があったらすぐ発信する、チャンスと見ればメディアにも登場するといったことはせめて20回やって初めて様になる、と思って、まずは今日からSNSで、気の利いたコンテンツを発信するところから始めてみませんか。―
どうでしょう。うまい置き換えになっているでしょうか。

他者頼みではリスクが高い

これを、更に具体的な事例に置き換えてみれば次のようになります。
例えば、前提として、新しく開発した商品の新規発売開始、といった事情があるとしたらどうでしょうか。
そんなとき、普段やり慣れていない広告宣伝などを、いきなり多額の予算をかけて、実施するのはリスクが高いかも知れません。広報、アウトプットということを日常的にやっていない企業にとっては、それは普段取り組んだことのない特別な仕事になるからです。
日常的に、「情報発信(アウトプット)」を続けている企業であれば、今は双方向性のやり取りも可能な時代ですので、顧客の声などを参考にして、比較的適切な広告の企画が出せるかも知れません。
しかし、そういったベースがまるでない企業の場合、完全に他者頼み(広告代理店やマスメディアの広告担当など)になってしまい、自社でイニシアティブを取れない可能性が高いのです。そうすると、広告がうまくいかなかったとき、もともとよくわかっていないために、途中で修正といったことも難しくなります。
私は、まるまる他者頼みの広告は、そうなる可能性が高いと思っています。実際そういうケースが多いのではないでしょうか。またそんなとき、責任の所在も不明なまま、ということにもなりかねません。

平常心が発揮できるように

こういった大きな企画でなくとも、日常的に発信したい情報はいろいろとあるはずですので、面倒さを厭わず、日頃から「情報発信(アウトプット)」に慣れておくべきでしょう。そうすれば、大事なときに、鈴木女史のいう「うわ、きっとこの人、女を口説いたこともないんだろうな・・・」といった、相手の腰が引けるような状況にならないですむはずです。
人生においても仕事においても、節目節目で勝負を賭けなければならないときというのは巡ってくるものです。そんなときに慌てふためいて、平常心が発揮できない、といったことにならないように、普段からできることはやっておくに越したことはありません。ビジネスにおいては、その最たるものの一つが、日頃の「情報発信(アウトプット)」であると私は思っています。
どうでしょう。ちょっとこじつけっぽかったでしょうか。しかし、私には鈴木女史のいう「日常から慣れる状況を作っておく。」という説はかなり説得力がありましたので、大いに実践してみようと思っています。



女性に声をかけるには怪しすぎる

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海江田博士
専門家

海江田博士(税理士)

税理士法人アリエス

税務相談はもちろんのこと、従来の税理士としての職務に留まらず経営者自身で革新できることを目指した支援を続けています。日本経済をしっかりと支えられる強い基盤を持った中小企業への第一歩のお手伝いをします。

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