「売り」を伸ばす―そもそも自分の「型」を持たなきゃあ始まらないでしょ―Ⅱ
[裏に隠れた大きな資産]
年間の企業業績を示す指標となるのが「損益計算書(P/L)」です。
そのP/Lを良くするための努力の積み重ねの結果が、「貸借対照表」ということになります。
「貸借対照表」は、積み重ねてきた結果であり、いわば企業が獲得してきた様々なプラスの資産、マイナスの資産をすべて表わしています。
ところで、業績に直結している「損益計算書」はともかく、結果を表現しているに過ぎない「貸借対照表」を、企業の業績アップのために応用していこう、という発想は、これまであまり語られることはありませんでした。
直接的な関連が、にわかには想像できなかったからです。
私は、この様々な「企業資産」を現している「貸借対照表」を、さらに掘り下げて考えることにより、やがて企業の業績アップに使えるのではないか、と考えたのです。
これが、少し変わったコンサルティングのお話をします、と述べた理由なのです。
ここで私が考える「企業資産」というのは、決算書上に数字で表現される「貸借対照表」だけで説明できるものではありません。
「貸借対照表」は、企業の持つ有形無形の資産を数字で表現したものですが、企業にはそういった表舞台に表されるものだけでなく、その裏に隠れた大きな資産があるのです。
それが、私がこのコラムでしばしば述べてきた、企業の理念哲学であったり、思いやこだわり、信条、受け継がれてきた伝統といったものなのです。
更に、特殊な技術や人材、社長の人脈といったものも「貸借対照表」には全く表現されません。
この裏に隠れた資産こそが極めて重要なものと私は考えました。
便宜上、この目に見えない資産を「隠れ企業資産」と呼びたいと思います。
なぜ重要と考えたのか・・・
それは、企業がそれを外にアピールすることでプラスに働くのは、この「隠れ企業資産」に他ならないからです。
通常、「貸借対照表」そのものを表にアピールすることはありませんし、アピールしたところで何のプラスにもなりません。
中小企業の場合「貸借対照表」を重視する第3者は、返済原資が確保できるかどうかの判定に一喜一憂する銀行くらいです。
これに対して、大企業には「株主」という厳しい判定者が存在します。
つづく