国内経済の慢性的な低収益構造に問題あり―製造業は、なぜ国産回帰できないのか?―Ⅱ
[「危機への対応」でも目立つ中小企業の弱さ]
このブログでも日本在住のイギリス人アナリストであり経営者でもあるデービッド・アトキンソン氏のことは、度々取り上げてきました。
氏の提言や著書についてこれまで何回か触れきましたが、今回の新型コロナウイルス禍に際して、かなり踏み込んだ提言をされていたので、ここで取り上げてみたいと思います。
ただ、今回のテーマは私が経営する税理士事務所の存在価値に対しても深くかかわることであり、取り上げること自体、リスクがないわけではありません。
しかし、アトキンソン氏の指摘は、ある意味かなり以前から私たちの課題であり、その解決法について先送りしてきた経緯もあると思い、取り上げてみることにしました。
アトキンソン氏がインターネット上に上げられていたコラムは、次のようなタイトルでした。
コロナで露呈した「日本経済の脆弱性」の根因―「危機への対応」でも中小企業の弱さが目立つ ―
「日本経済の脆弱性」、中小企業の弱さ、といった言葉が気になります。
いったいどういう指摘なのでしょうか。
それは「小さい企業ほど「テレワーク導入」ができない」というタイトルで、次のような書き出しで始まります。
―コロナウイルスの蔓延により、多くの日本企業が窮地に陥っています。
特に中小企業の経営は厳しく、今後多くの中小企業が経営破綻することが危惧されています。
当然ですが、このような危機への対応力は一般に企業規模が大きいほど強く、小さいほど弱くなります。
国全体で見ても同様に、企業の平均規模が大きいほど危機に強く、小さいほど危機に弱くなります。―
のっけから厳しい指摘です。
これまで日本の中小企業は、好不況といった景気の波に揉まれながらも、なんとかしたたかに生き残ってきました。
しかし今、人口減というこれまで経験したことない状況に遭遇して戸惑い、方向性を見失っています。
今回の新型コロナウイルス禍は、この現状にさらにどのような影響を与えるのでしょうか。
お客さんの相談は続きます。
つづく