あなたが新しい商品を取り扱い始めたことなど世の中の誰も知らない―目の前に突きつけられているテーマに経営者はどう向き合うべきなのか―Ⅲ
[利益を出せないような活性化事業は止めてしまう!?!]
一過性の補助、助成というものがどういう結果をもたらすのか、これまで私も目の当たりにしてそれなりの感想を持っていますが、木下氏は以下のように続けておられました。
― 地域の衰退とは何でしょうか。(中略)
「仕事がない」→「仕事がないから人もいなくなる」→「人もいなくなるから、ますます仕事がなくなっていく」、という負の循環をいかにして断ち切るかしかありません。
そのためには、利益を生み出す事業と向き合わなくてはなりません。(中略)
利益が出ないようなことばかり続けていると、地域の経済がいつまでたってもプラスにはなりません。(中略)
足りなくなったらさらに投入せざるをえないという構造になり、活性化とは程遠い状況になります。
地域活性化が「公共性がある→補助金を出す→利益は出していけない」という概念に基づいてしまっていては、限界があります。
行政が関わった途端に、官民両方が利益は出ない、出していけないという固定観念も未だ強いです。(中略)
税金を用いた活性化事業の限界は、利益を出してはいけない、出せないという、その資金の性質と諦めで縛られてしまっているわけです。
逆に言えば、「利益を出せないような活性化事業は、すべて止めてしまう」くらいの、思い切った意思決定が必要なのです。(中略)
「地域で資金を回し続けるエンジンを作り出すこと」、すなわち「しっかり利益を出すこと」でしか、地域の持続的な活性化なんて不可能なわけですから。―
補助金投入の事業というのは、私たち会計人にとって極めて分かりにくい所があります。
これは以前から感じていたことです。
それは、木下氏がかかれているように「利益を出してはいけない。」という不文律があるということに起因しています。
通常、我々は利益を出さないことを前提に事業を行ないはしません。
いかに利益を追求するかに知恵を絞り行動を起こすわけです。
この原則に反した補助金事業というのは、大きな意味で経済の摂理に反しているのです。
これがうまくいかない主たる原因というのは、木下氏の指摘を待つまでもありません。
つづく