活字離れ防止 幼少期の読み聞かせのコツ
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勉強のツールにせず、親も絵本そのものを楽しむことが大切
全国大学生活協同組合連合会の「学生生活実態調査」によれば、「1日の読書時間がゼロ」と回答した大学生が、約4割も存在することが明らかになりました。若者の活字離れが叫ばれる昨今、幼少のころから絵本などで活字に慣れ親しむことの重要性が増してきているように思います。
「子どもを本好きにするためには、どうすれば良いか」「幼児教育のためには、どんな絵本がオススメか」と、保護者を対象とした絵本講座でよく質問を受けます。本好きにしたい理由、幼児教育に直結させたい理由としては、読解力を付けるため、楽しみながら自然に文字を覚えるためなど、さまざまです。決して間違いではありませんが、私は「絵本を勉強のツールにせず、絵本そのものを一緒に楽しんでください」と答えるようにしています。
美味しい物を食べれば子どもにも食べさせたい、美しい景色を見て子どもにも見せてあげたいと思うように、親にとっても心に残る絵本に出会い、子どもに読み聞かせたい、一緒に読みたいという純粋な気持ちが大切です。
例えば、イライラしながら子どもの寝かしつけに読み始めたり、忙しい時にしつこくせがまれて読み始めたりした絵本であっても、読み進めるうちに不思議と気持ちが落ち着いた経験はありませんか?それは、読み聞かせによって子どもと豊かな時間を共有しているからです。
言葉にできないノンバーバルな部分を育めば、伸びしろは広がる
子どもは、大人が思っている以上に、絵本を読んでもらうことが大好きです。せっかく話の世界に引き込まれ余韻を楽しんでいるのに、幼児教育という観点によって読み終わった後に感想を聞き出したり、あらすじを言わせてみたりする必要はありません。また、教訓などを教えるツールとして絵本を利用し、読み終えた後に「ほら、悪いことをしたら罰があるでしょ」と言って、「どうしてこんなことになったかと思う」と尋ねるのも不要です。子どもは自分の言葉とわずかな経験を思いめぐらせ、自分なりの答えを出しています。
むしろ、言葉にできないノンバーバルな部分の方が大切で、それを育むだけで子どもたちの伸びしろは広がっていくでしょう。嫌でも学童期になれば言葉を紡ぎ表現していかなければならないため、それ以外の時こそ、大らかに絵本を楽しんでください。子どもから「読んで」とせがまれる時期は、想像以上に短いものです。子どものためにワクワクしながら選んだ絵本で、心の財産を増やしてください。時には、大人が自分のために絵本を読み、絵本の世界に浸ることがあってもいいと思います。
最後に、親にもオススメの絵本をいくつか紹介します。「4こうねんのぼく」「じいじのさくら山」「かあさんのこもりうた」「おじいちゃんがおばけになったわけ」「おこだでませんように」「おかあさん、げんきですか」「てんごくのおとうちゃん」「おかあちゃんがつくったる」などです。そして、読んでいるうちに涙が流れ、読み聞かせができない絵本が「ひまわりのおか」です。どの絵本も、生きていることに対して感謝の思いがあふれる、そんな原点に戻れる素晴らしい絵本です。
子どもの創造力を育むプロ
石橋幸子さん(NPO法人アトリエ・Petata)
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