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ストーカー治療 、刑事司法から見る問題点

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治療によってストーカー行為は改善される

ストーカー治療 、刑事司法から見る問題点

「ストーカー治療」という言葉を聞いたことはありますか。現在、4月から警視庁管内ではストーカー事件の加害者に治療を促し、その効果を検証するという取り組みを行っています。

ストーカーの被害に遭った人の相談を受けたり、「ストーカーだ」と言われた人からの相談を受けたりしている私からすると、ストーカーだとされる人全てに治療が必要とは思いません。しかし、一方で何度も同じような行為を繰り返してしまう人が、カウンセリング等の治療によって改善されるということがあり得ると思っています。

アメリカでは薬物事案において、医療施設での依存症治療などのプログラムを提供していますし、アジアの国の中には強制的に薬物治療プログラムを実施している国もあります。今回の取り組みは「刑罰から治療へ」という流れが少しずつ日本にも導入され、再犯を防ごうという動きがあるように感じられます。

治療の強制は自由を制約することにも

現在、日本の刑事司法の世界では、少しずつですが依存症や疾患の治療に取り組む団体や福祉との連携を模索しています。この背景には、治療ができない環境に本人を放置してしまった結果、うまく社会復帰ができず残念ながら再び犯罪行為を繰り返すような事実があることによります。

とはいえ、連携は簡単にできるようなことではありません。例えば、犯罪行為をしたかどうか自体を争っている場合に、犯罪行為をしたことを前提とした治療の提供をと言われても、本人からしてみれば「それは違うんじゃない」と考えるでしょう。実際に犯罪行為をやっていないのに強制的に「治療」されるのでは、その人の自由を制約することになります。また、そうした意味で本人や弁護人が「治療の必要がない」と主張することが「反省していない」「再犯のおそれが高い」と簡単に判断されるのでは、えん罪が発生する背景と同じ構造ができあがってしまうことにもつながりかねません。

ここから先はあくまでも私個人の意見になりますが、犯罪行為があったか、なかったかという問題と、犯罪行為があったと仮定し、では再びそのようなことがないようにするため、本人や周囲の環境がどう取り組んでいくかという問題とを分けて議論すべきだと思います。最初から、議論のために手続自体を分けることを考えてみていいのではないのでしょうか。

「遠い世界のできごと」と取られてしまいかねない刑事問題ですが、自分たちが住んでいるコミュニティーの中にも、さまざまな人が暮らしていますし、ひょんなきっかけからそういう問題に当事者として関わることがあります。ぜひ身近な問題として自分が被害者だったら、加害者だったら、加害者の家族だったらと考えてみてください。

身近な相談相手として、問題を解決できる女性弁護士

白木麗弥さん(ハミングバード法律事務所)

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