JK雇用で気をつけたい労務管理
福井県鯖江市で「鯖江市役所JK課プロジェクト」発足
「めがねのまち」としても有名な福井県鯖江市で、女子高生がまちづくりに参加する「鯖江市役所JK課プロジェクト」が発足しました。記者会見が先日行われ、市長が13名の課員に委嘱状を手渡しました。
「JK」とは、女子高生の略語ですが、この「JK課」とは、市民参加による住民自治や新しいまちづくりを進めてきた鯖江市による実験的な市民協働推進プロジェクトのひとつで、正式な行政組織の名称ではありません。鯖江市と女子高生のメンバーとの間に雇用関係はなく、自治体予算による定額給与・報酬の支払いはありませんが、活動に準じて、地元企業等からの活動資金・協賛金等から一部報酬が支払われる可能性があるとのことです。
今回のケースでは、市と女子高生との間で雇用関係はないため、問題にはなりませんが、仮に雇用契約が成立する場合、あるいは実態として労働者性があるような場合、特に注意が必要です。民間企業や個人経営の飲食店でも女子高生をはじめとする未成年を雇用することはよくありますが、アルバイトであっても、また、仮に一日だけ雇うといっても、知らないとトラブルを引き起こしてしまいます。
大前提として、満15歳の年度末までは使用できない
未成年者(満20歳未満の者)や年少者(満18歳未満の者)の雇用契約については、労働基準法において様々な制限が設けられています。
まず大前提として、満15歳の年度末(3月31日)までは使用することはできません。なお、非工業的事業で健康・福祉に有害でない軽易な作業については満13歳以上、映画の製作・演劇の事業については、満13歳未満の児童でも、所轄の労働基準監督署長の許可を条件として、例外的に修学時間外に働かせることができます。万が一、違反した場合、罰則として、1年以下の懲役、または50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
企業が、満18歳未満の者を雇用する場合は、その年齢を証明する戸籍証明書(住民票記載事項証明書でも可)などを事業場に備えつけなければならないことになっています。また、未成年だからといって親や後見人などの代理人と雇用契約を結ぶことはできませんし、親から求めがあったとしても賃金を代理人(親等)に支払うことはできず、本人に直接払わなければなりません。
変形労働時間制や時間外・休日労働などは認められない
年少者(満18歳未満の者)を一定の危険有害業務に従事させる事はできませんし、同様に深夜業(夜10時から翌朝5時まで)に従事させることも原則禁止されています。さらに満15歳の年度末(3月31日)までの者については、夜8時から翌朝5時まで就労させることはできません。
また一部例外はありますが、法定労働時間(週40時間・1日8時間)を遵守して労働させなければなりません。したがって、変形労働時間制や、時間外・休日労働及び労働時間・休憩の特例は認められていませんので、例えば飲食店、コンビニエンスストア、旅館などで高校生を雇用する場合、この労働時間の規制に違反することのないようチェックが必要です。
最後に労務管理のポイントとして、採用時の年齢の確認を徹底することを忘れないでください。本人の書いた履歴書や口頭だけではなく、きちんと学生証や免許証などの公的な証明書で確認すべきです。できれば親の同意書などももらえれば、採用する側も安心して雇用できますし、トラブルを防止することにもなるでしょう。