沖縄市長に容認派 辺野古移設は進む?
辺野古移設の問題については位置的に沖縄市は直接関わっていない
平成26年4月27日投開票の沖縄市長選挙で、自民・公明推薦の桑江朝千夫さんが当選しました。今年9月には、「辺野古移設が争点となる」と予想される沖縄県知事選挙がありますので、沖縄市長選挙は知事選の前哨戦と言われていました。移設容認派と言われる桑江さんの当選で移設は進むのでしょうか。
まず位置関係について説明します。沖縄市は、沖縄本島中部にある人口14万人弱の街です。なお、沖縄市は沖縄県の県庁所在地ではなく、県庁所在地は本島南部の那覇市です。沖縄市にも嘉手納飛行場の一部など米軍基地・施設はあります。しかし、辺野古への移設の対象となっている海兵隊の普天間飛行場は宜野湾市に所在し、沖縄市にあるわけではありません。宜野湾市と沖縄市は隣接してもいません。
また、辺野古は、沖縄本島北部の名護市の地域です。名護市と沖縄市も隣接してはいません。このように、辺野古移設と問題については位置的に沖縄市が直接関わっているわけではありません。
政治的な評価としては、推進派・反対派で分かれる
上述したように沖縄市は辺野古移設に直接の関わりはありませんから、法律的な観点での関係は無いと思われます。政治的な評価としては、市長選の結果は推進派・反対派がそれぞれの立場に沿って評価するのではないでしょうか。辺野古移設を進めたい側からすれば「沖縄県民の移設容認の意思の表れだ」と評価するかもしれませんし、反対する側からすれば「辺野古移設の点で有権者は判断しなかった」などと、できるだけ影響が無い方向で主張したいのではないかと思われます。
しかし、移設に反対した候補の側では辺野古移設を市長選の争点にしようとしていたようです。他方で、当選した桑江さんは「沖縄市長選挙は辺野古移設と関係ない」として、選挙中はノーコメントだったとの報道もあります。今度の県知事選挙への影響という点でも、論者の立場によって影響の有無のどちらででも評価できるのではないかと思います。
沖縄市の市長選挙の結果は移設が進むかどうかとは関係が無い
辺野古移設に関しては、今年1月に、沖縄県内の居住者を原告とし、地方公共団体としての沖縄県を被告とする、沖縄県知事の公有水面埋立法4条の承認の取消を求める訴訟が起こされています。同時に、取消訴訟の判決確定まで埋立承認の効力を停止することを求める執行停止申立(行政事件訴訟法25条2項)も起こされています。執行停止申立の相手方も沖縄県です。
このように、裁判の被告・相手方は沖縄県であって、沖縄市ではありません。これらの裁判に関して、当事者ではない沖縄市の市長選挙の結果が直接影響するとは考えられません。したがって、政治的な効果は別として、地理的にも裁判関係でも直接の当事者ではない沖縄市の市長選挙の結果は、辺野古移設が進むかどうかとは関係が無いと考えます。
中小企業をとりまく法的問題解決のプロ
林朋寛さん(北海道コンテンツ法律事務所)