「4人に1人が65歳」深刻な影響
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日本の総人口が3年連続で減少
先日の総務省の発表によると、平成25年10月1日現在の日本の総人口が、前年より21万7000人と3年連続で減少しています。また、15~64歳の生産年齢人口も32年ぶりに減少。65歳以上の高齢者の割合が初めて総人口の4分の1を超え、16年後には3人に1人が65歳以上の高齢者になることが予測される危機的な状況になっています。その背景には、医療技術の進歩により平均寿命が延びたことや、女性の晩婚化、出生率の低下があります。
対策をしないと、社会保険料や消費税のさらなる引き上げは必至
このまま、高齢者の割合が増えるとどんな影響があるのでしょうか。
(1)GDP(国内総生産)の低下により日本経済が衰退
(2)年金の受給開始年齢も引き上げ・年金額の引き下げ
現在は原則65歳から支給されますが、70歳またはそれ以上になる可能性もあります。また、保険料や税金の財源が少なくなると、年金額も引き下げざるを得なくなります。
(3)社会保険料の引き上げ
年金の財源とするために、年金の保険料は平成29年まで毎年引き上げられることになっていますが、賦課方式のため保険料を引き上げることが考えられます。
(4)消費税の引き上げ
高齢者の割合が増えると年金の支払額が増えるほか、介護や医療の社会保障を受ける機会が増えます。そのために、財源である消費税が将来予定されている10%以上になることも考えられます。サービスを受ける際の、一部負担割合の引き上げやサービスのカットも同様に考えられます。
労働力人口の増加には、女性と高齢者の活用がカギ
この状況で何も対策をしないと、暮らしにくい日本になってしまいます。日本のように、現役世代が高齢世代を支える仕組みとなっている国では、少子高齢化は深刻な問題です。
対策としては、少子高齢化を解消し、生産年齢人口を増やすことがあげられます。そのためには、女性が子どもを産み、育てやすい環境をつくることです。仕事をしていても将来に不安があり、育児休業の環境が整っていないと子どもを産み育てることができないため、活用しやすい育児休業制度にする必要があります。
また、女性や高齢者の活用に力を入れることです。安倍政権では、女性の活用を成長戦略の一つにしているので、労働力人口の増加が期待されます。ほかにも、定年の引き上げで高齢者を活用することで労働力人口を増やすことができます。高齢者にとっては、年金支給開始年齢を引き上げても影響が少ないうえ「生きがいづくり」にもなり、健康であれば医療や介護の費用の削減が期待されます。実際、高齢者のうち半分を超える人が「65歳以降も働きたい」と考えていることから、制度が変わればできないことではないでしょう。
リスク対応型就業規則作成と障害年金請求の専門家
松本明親さん(社会保険労務士 松本事務所)
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