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  1. たたみベッドと槇島ほうき、パリへ

たたみベッドと槇島ほうき、パリへ

「畳をほうきで履く感触」が朝のひとときを豊かに

たたみベッドと槇島ほうき、パリへ

「ほうきは掃除用具ではない」、私はそう考えています。便利さや効率などを考えれば、「掃除機」に多くの支持が集まるでしょう。では、「ほうき」は何なのか?朝、早起きして「サッサッサ」と心地よい音を聞きながら畳を掃く感触を楽しむ。この朝のひとときが、生活に豊かさをもたらします。

大げさな表現ですが、「ほうきと畳の物語」は人々を幸せにします。これが大きな魅力だと思います。

槇島ほうきとの出会いで畳について再考

私と「槇島ほうき」との出会いは、2013年の5月でした。山形県庄内町の槇島地区に伝わる伝統的なほうきの作り手はたった3人。それを残そうと、ある女性が立ち上がります。ほうきのデザインを現代風にアレンジしたり、市民ボランティアを募り、ほうき作りの体験イベントを開催したり、活発な情報発信が地域の話題になっていきました。

「畳」も同じような状況で、「畳の良さをもっと知ってほしい」「何とか畳を残そう」と、畳職人が日々工夫しています。しかし、自分たちのやっていることに疑問を感じ始めます。「自分たちの都合で、一方的な思い込みをしているのではなか?」。そんな考えからやり方に限界を感じるようになりました。そして、ある日、ふとこう思いました。「畳の良さは、すでにみんな知っている」と。少なくとも「良いイメージを持っている」という事実に気がつきました。そこで、私たちの役割は「畳の生活に物語を提案していくことではないか」と考えるようになったのです。

時間をかけたアナログなやり方が、リアルな物語を生みだす

それから、ほうきと畳のコラボレーションが始まりました。ほうきも畳も日本文化の一つのパーツです。そのパーツ同士が織りなしていくことが物語になり、文化として根付いていきます。こんな背景があって「槇島ほうき」と「畳表にイグサを詰めて丸めたロールをつなげたベッド」の企画が実現。日本ブームに沸くフランス・パリに進出し、9月から「パリ日本文化会館」で展示・使用されることになりました。

コラボレーションには、こだわりがあります。それは、人と人との関わりに重きを置いていることです。私たちは、ほうき草を作るところから参画し、作り手の思いを体験します。お互いの理念が一致したときに、リアルな物語が生まれてくるのです。今まで違う立場にいた人同士が一緒になるには、かなり泥臭いプロセスがあり、スピードや合理性などを考えると、成果が出るまで時間がかかります。しかし、長期的な視点で見ると、アナログ的なやり方が、関わる人々が幸せになるのではないかと感じています。そして、斬新さと遊び心が加わると、おもしろい化学反応が起きるのです。

私たちは、この「偶然が起きるのを待つ」という手法で、コラボレーションを楽しんでいきます。今度はどんな「いたずら」を入れていくか?考えただけでワクワクしてしまいます。

鏡芳昭

国産畳「正直たたみ」を全国・世界に届けるプロ

鏡芳昭さん(有限会社 鏡畳店)

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