企業で実践すべきメディアリテラシー教育
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メディアリテラシー欠如に起因する不祥事を防ぐ教育が重要課題
2014年4月9日、Windows XPのサポートが終了しました。対応に追われた企業も多かったのではないでしょうか。これだけ各方面からXPからの入れ替えを推奨されている状況を鑑みると、企業でXPを使い続けてウイルス感染などが原因で情報漏洩などを起こした場合、漏洩・流出した情報価値の大きさや、その後の対応如何によっては、企業経営に深刻なダメージを及ぼすこともありえます。
企業にとって、従業員のメディアリテラシー欠如に起因する不祥事を未然に防ぐための教育が重要課題です。Word、Excel、PowerPointなどビジネス・アプリケーションの利用方法は、大学時代あるいは会社の研修で受けた経験を持つ人も多いでしょう。しかし、企業活動に必須スキルであるはずのビジネスにおけるメディアリテラシーは、全社員に教育・啓蒙できてないのが現実ではないでしょうか。
総務省が定義する「メディアリテラシー」の3つの能力
では、今日の企業で実践すべきメディアリテラシー教育とは、具体的にはどんなものなのでしょうか。メディアリテラシーという言葉は、曖昧で抽象的です。ここでは総務省が定義する「メディアリテラシー」に掲げられている次の3つの能力を軸に考えてみます。
①「情報の受け手側がテレビや新聞などの情報を主体的に読み解く能力」
テレビ、新聞、インターネットなどメディアによって伝えられる情報を主体的に読み解いて、必要な情報を引き出す能力を育みましょう。メディアが伝える情報は、送り手の都合に合わせて編集されていたり、視聴者に受けるように作られている「構成されたメッセージ」です。従業員一人ひとりが、自社に対する問題意識と危機管理意識を持って、メディア情報を鵜呑みにせず、社会的文脈の中で批判的に分析・評価する能力が養えるような教育を考えなくてはなりません。
②「メディアにアクセスして活用する能力」
特にインターネット上に溢れる情報は玉石混交、真贋不明であることを念頭に置いた上で、情報の信頼性を識別できる能力を育みましょう。例えば、誰でも自由に編集可能なウィキペディア。手軽さの一方で、ウィキペディア日本語版管理者によれば「書き込みの57%は登録していない匿名ユーザー」であり、誤った情報が書かれている項目もあるとのこと。ウィキペディアを参考にすることはあっても、企業の資料作りや情報発信の根拠として使うべきではないという作法を、従業員に徹底する教育が必要でしょう。
③「メディアを通じてコミュニケーションを創造する能力」
メディアを通じたコミュニケーション創造の代表として、今日では日本の企業がFacebookなどソーシャルメディアのアカウントを開設することが当たり前になってきました。多くの繋がりを生み出すSNSですが、利用する目的を明確にした上で、自社におけるメリット・デメリット、向き・不向きを考えて、ソーシャルメディアの運用戦略を確立していく必要があります。具体的には、SNSは始めることは簡単です。しかし、定期的な投稿、ユーザーへの返答という継続的管理が不可欠です。フィードバックを苦にせずプラスと考えて利用していかなくては、SNSを本当の意味で活用することはできません。
メディアを通じてのコミュニケーションは事務的な対応に陥りがちです。正確な情報をキャッチアップし、アクティブな情報をリリースすること。対面コミュニケーションに負けず劣らず「人間的に」振る舞うこと。ユーザーに親しみを持ってもらい、よりユーザーと近い位置でコミュニケーションできるようにする教育が企業には求められるのではないでしょうか。
豊富な経験と細やかな対応で頼れる人事・労務の専門家
大東恵子さん(あすか社会保険労務士法人)
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