子どもの進路意識が低下、社会問題に
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学ぶことそのものへの関心や意欲までが低下傾向に
今、若者が、職業について考えたり、職業の選択・決定を先送りにしたりする「モラトリアム傾向」や、フリーター志向の広がりなどが指摘されています。そうした中、子どもたちの進路意識や目的意識の低下も懸念されています。将来に向けて、何のために学校で学ぶのかを意識しないばかりか、学ぶことそのものへの関心や意欲までが低下傾向にあるのです。
子どもたちに、将来の夢や「どんな職業に就きたいのか?」を問いかけても、答えられるのは少数派です。また、「どれぐらい稼ぎたいか?」という質問には、多くが「生活ができるだけ」と答えます。では、「生活するのにどれぐらいのお金が必要と思うか?」と聞くと、「わからない」という回答が返ってくることが少なくありません。
自分の望む生活をするにはどれぐらいお金が必要なのか、そして、そのためにはどのような仕事をしなければならないのか、そもそもどのような仕事があって、それぞれどれぐらいの給料がもらえるのか。また、さまざまな労働に対する報酬の差は、いったいなぜ生まれるのか。このような内容が、現在の教育では欠けているのではないかと思います。それぞれの職業での収入や、中卒・高卒・大卒での収入の格差などの社会の現状など、お金に関する話は、教育現場ではタブーとされている感があります。
十分に機能していないキャリア教育
現在、文部科学省は職場体験などのキャリア教育に力を入れています。労働の対価としてお金(職場体験では仮想通貨など)が得られるということを自ら体験することにより、労働やお金の大切さ、両親への尊敬の念が強まると考えられています。
しかし、子どもを子どもとして扱ってしまっている今のキャリア教育では、学校で学んだことがどのように社会や職場で活かされるのかを理解することは難しいでしょう。また、自分の未熟さを経験したり、自分には何ができて何ができないのかを自覚したりすることもできません。これでは学ぶことへの関心や意欲の向上へはつながりにくいと思われます。
例えば、大学生が聞くような、「どのような人材がどのような理由で求められているのか」といった各企業の採用担当者の話を、中学生に聞かせても良いのではないしょうか。社会の現状を子どものうちに知っておくことは大切であり、大人はそれを隠すべきではありません。知識や情報が何もない中で、将来の夢を決めろということ自体が、土台無理な話だと思います。
幼少期からの家庭内コミュニケーションが鍵
しかし、忘れてはならないのは、労働やお金の大切さなどを育む上で、もっとも影響を受けるのは、親が語る勤労観、職業観であったり、子どもの将来の夢に親が耳を傾けたり、幼少期からの金銭感覚のしつけなど、家庭が担う部分が大きいということです。
勤労観や職業観がはっきりしている子どもたちは、学ぶことへの意識も高く、自ら積極的に学ぶ傾向にあります。夢や目標、やりたいことが決まれば、何をどのように頑張れば良いかが明確になり、学ぶことに取り組む姿勢が変わってくるでしょう。
家庭教師と塾で算数と数学を教えるプロ
竹村洋さん(数塾)
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