海外ネット配信に消費税課税の検討へ
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海外企業からデジタルコンテンツが配信される場合は課税されない
消費税は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等及び外国貨物の輸入に対して課税されます。国内企業が国内の個人もしくは企業と取引するときには当然に消費税が課税され、また、国内の個人もしくは企業が、海外の企業からモノを購入した場合は、保税地域(輸入貨物を許可が下りるまで一時的に保管する場所)を通るため、輸入貨物として消費税が課税されます。
今は、インターネットを通じて国境を越えて音楽や電子書籍などのデジタルコンテンツが流通する時代となりました。デジタルコンテンツは保税地域を通過しませんし、通関手続きもなされません。その結果、同じデジタルコンテンツでありながら、海外企業から配信される場合は消費税が課税されない一方で、国内企業から配信される場合は消費税が課税されることになります。つまり、海外企業が消費税の課税上有利になるということです。また、国内企業でありながら、海外に子会社をつくってデジタルコンテンツを配信している会社についても、消費税の課税上、有利となります。
政府税調は課税上の不公平感解消に向けて議論を進める
このような課税上の不公平については、国内企業からはかねてより不満が上がっていました。消費者目線では、消費税の課税されない海外企業との取引は魅力的ですが、国内企業、特に海外に子会社をつくるほどの資金力のない企業にとっては、競争上不利であることはいうまでもありません。消費税率が5%から8%に上がったことにより不公平感が高まっていることを受けて、政府税調は、消費税率が10%になることが予定されている平成27年度の税制改正に向けて議論を進めている最中です。
今のところ、海外から国内の個人にデジタルコンテンツを配信する海外企業には、日本での登録を義務づけることや、広告のように国内企業にサービスを提供する海外企業には、サービスを受ける側の国内企業が代わりに消費税を納める案が挙がっているようです。
とはいえ、日本にデジタルコンテンツを配信している海外企業を網羅的に把握することには困難が予想されます。また、消費税は資産を譲渡した側が納める税金ですが、サービスを受ける側に納税を求める点は、従来の制度設計とは大きな転換となります。周知するための十分な時間が必要になりそうです。
戦略という視点で会社経営を支えるプロ
西谷俊広さん(西谷俊広 公認会計士・税理士事務所)
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