「世界で最も危険な都市」日本が独占
日本の主要都市がランキングを独占した要因
スイスの再保険会社であるスイス・リーが、「世界で最も危険な都市ランキング」を発表しました。第1位に東京と横浜、第2位には大阪、第3位には名古屋と、日本の主要都市が独占する結果となりました。
今回の検証は多くの要因を総合的に判断し、損害額の大きさと危険をリンクさせた内容になっており、命の危険を示す内容ではありません。また、地震を含む自然災害のリスクが、順位を引き上げることにつながりました。そして、危険要因の一つ「人口や産業の密集化」は、多くの人が集う素敵な都市である証しでもあり、対策とのバランスが大切であることを裏付ける検証結果でもあります。
危険は回避するものではなく、解決するもの
発生を予測できないのが、自然災害です。近年、日本では「東日本大震災」を経験し、津波の怖さを痛感しました。津波のパワーは計り知れず、多くの人が亡くなり、その恐怖が拭いきれない人もいます。しかし、この被害は、津波のパワーだけがもたらしたものではありません。海辺への人口や資産(家屋や産業など)の密集化、想定外とされた防潮堤などインフラの弱さ、そして、何よりも個々人の意識が多くの被害者を生み出す要因になっています。自然災害の規模を想定して被害を算出し、家屋など設備の整備や被災した場合の準備をしますが、危機管理としては不十分です。危機管理とは、想定外の規模の算定と最大規模の被害を算出することから始まり、被害の回避や軽減を模索して、対策を決めることです。この対策には避けられない被害も含まれ、その補填・復旧も含まれます。一般家庭で例えるならば、自然災害に備えて引っ越しをすることも想定内なのです。
このように、想定される危険に対して被害の回避、軽減、補填、復旧の方法を決めることが危機管理であり、解決することで不安を軽減、解消することが必要です。自然災害の対策としてさまざまな準備(飲料水、非常食、非常持ち出し袋等)がありますが、大切なのは「自然災害は避けられないものである」という心の準備と「被災した現実からは逃げられない」という諦めです。「心の準備」は、被災時のパニックを予防する効果があり、「諦め」は被災して沈んだ心を前に進ませる活力を生み出します。多くの災害現場を調べ、被災者と深く関わり、足りないものは何かを探す中、危機管理コーディネーターとしてたどり着いた結論です。