愛知県刈谷市スマホ禁止令の妥当性
愛知県刈谷市が小中学生にスマートフォンの利用を制限
愛知県刈谷市では、市内全21校の小中学校の生徒に対して、21時以降のスマートフォンや携帯電話の利用を禁止する試みを2014年4月からスタートさせる予定です。これは「市児童生徒愛護会」が発案したものです。「大人」が下した今回の禁止令の目的は、「子どもたちの生活習慣改善のため」「無料の通信アプリ内で起きているトラブルやいじめを未然に防止するため」です。ただ、スマートフォンや携帯電話などにまつわる問題は、決して子どもに限った話ではありません。大人でさえ、スマートフォンやオンラインの情報に支配されているにもかかわらず、規則をつくって禁止することが妥当と言えるのでしょうか。
街を歩けば、「ながらスマホ」と呼ばれる大人たちが大勢います。朝や夕刻の通勤電車の中では、無表情でスマートフォンに向かう社会人で溢れています。会社では、パソコン画面を見詰めたまま社内SNSやメールで会話し、パソコン画面を見たまま対応する上司も少なくないでしょう。「オンラインによるコミュニケーション」は、確かに便利です。社会の仕組みにスピード感をもたらします。しかし、これほど瞬時に直接的に人とつながる手段は、相手の気持ちに対しての想像力を人から奪うことになりかねません。
大人に蔓延する「クローズ人間」の傾向。子どもを教育できるか?
スマートフォンや携帯電話、もしくはパソコンやタブレットPCに向かって前かがみになり、無表情になっている現代の人たちを「クローズ人間」と呼びます。その特徴に、「自分にとって重要でない情報は排除する」「責任を回避する」「個人的な接触を減らす」という傾向が見受けられます。
大人でさえもそうした傾向がある中、オンラインのコミュニケーションによる悪影響、良質なコミュニケーションとはどういったものか、「集団」の良さと悪さ、これらを子どもにわかりやすく説明できる大人がどれほどいるのでしょう。親や教師ら大人が勉強し、子どもたちを教育していくことが先決です。現状を踏まえず、規則として禁止するような外側からの動機よりも、内側から「そうなんだ!」と納得する動機の方が、人間は質の高い行動が継続するのです。
独自手法で短期解決をもたらす心理カウンセラー
青柳雅也さん(カウンセリングルーム アンフィニ)