マイベストプロ

JIJICO powerd by マイベストプロ

  1. マイベストプロ TOP
  2. JIJICO
  3. 法律関連
  4. 飲みすぎ注意「アルコール基本法」

飲みすぎ注意「アルコール基本法」

カテゴリ:
法律関連

アルコール健康障害対策を法律で制定した理由

飲みすぎ注意「アルコール基本法」

平成25年12月7日に「アルコール健康障害対策基本法」が成立しました。この法律が制定された理由は、まさに第1条に規定されている通りです。

「この法律は、酒類が国民の生活に豊かさと潤いを与えるものであるとともに、酒類に関する伝統と文化が国民の生活に深く浸透している一方で、不適切な飲酒はアルコール健康障害の原因となり、アルコール健康障害は、本人の健康の問題であるのみならず、その家族への深刻な影響や重大な社会問題を生じさせる危険性が高いことに鑑み、アルコール健康障害対策に関し、基本理念を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、アルコール健康障害対策の基本となる事項を定めること等により、アルコール健康障害対策を総合的かつ計画的に推進して、アルコール健康障害の発生、進行及び再発の防止を図り、あわせてアルコール健康障害を有する者等に対する支援の充実を図り、もって国民の健康を保護するとともに、安心して暮らすことのできる社会の実現に寄与することを目的とする」

法律の目的を定めた第1条が、これほど長い文章になっている法令には滅多にお目にかかれませんが、アルコール健康障害が社会に与える影響や損失がいかに大きいものであるのかを訴え続けてきた人々の、切実な思いが込められているように思われます。

飲み過ぎによる社会的損失は年間4兆1483億円と推計

実際、我が国では、「①飲酒運転で検挙された男性の5割、女性の4割に依存症の疑いがある」「②深刻なDVの3割、刑事処分を受けたDVの7割が飲酒の上での犯行である」「③自殺者の2割以上がアルコールの問題を抱えている」「④アルコールに関連する疾病等による年間死亡者数は3万5000人に達する」などといわれています。

厚生労働省の研究班も、アルコールの飲み過ぎによる社会的損失(治療、労働生産性の低下、犯罪等)が、年間4兆1483億円(酒税の3倍)に達するものと推計しております。

アルコール健康障害対策は世界的な潮流

しかしながら、このような基本法を成立させることによって、アルコールに対するイメージダウンに繋がり、アルコールの消費量が減ってしまうといった懸念もありますから、利害関係を有する酒類製造・販売業者がすんなり賛成したわけではありません。「酒は百薬の長」と言われる面もありますので、利害関係を有する事業者の利益を不当に害する結果とならないような配慮も必要となります。そこで、飲酒そのものを否定しないように「酒類に関する伝統と文化が国民の生活に深く浸透していること」を冒頭に掲げ、「酒類の表示、広告その他販売の方法について、酒類の製造又は販売を行う事業者の自主的な取組を尊重」することが盛り込まれています。

アルコール健康障害対策基本法の成立によって、消費への影響が全くないとは言えませんが、世界保健機関(WHO)が平成22年に「アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略」を決議するなど、アルコール健康障害対策は、世界的な潮流になっているといえるでしょう。

田沢剛

法的トラブル解決の専門家

弁護士

田沢剛さん(新横浜アーバン・クリエイト法律事務所)

Share

関連するその他の記事

相続登記の義務化と手続きの簡略化で所有者不明土地の問題解決へ。放置物件の有効利用は進むか?

法改正で放置物件の処遇がスムーズになり、問題の解消が期待されます。現在、地方に空き家を所有している人、これから相続問題を考える人にとっては、どのような意味があるのでしょうか。司法書士・行政書士の能登ゆかさんに聞きました。

能登ゆか

能登ゆかさん

相談者の心に寄り添う司法書士

あっせん団体「ベビーライフ」廃業で問題に。特別養子縁組とは?海外に比べ養子制度が浸透しないワケ

特別養子縁組の制度とはどのようなものでしょうか。海外へのあっせんや出自情報の管理など、今後の課題は。弁護士の半田望さんに聞きました。

半田望

半田望さん

市民の法律問題を一緒に解決する法律のプロ

「同性婚の不受理は違憲」歴史的と言われる判決のポイントは?同性婚をめぐる法整備への第一歩となるのか?

同性婚をめぐる全国初となる判決が、3月17日に札幌地裁で出されました。裁判の争点や、判決のポイントを弁護士の片島由賀さんに聞きました。

片島由賀

片島由賀さん

逆風を追い風に変える弁護のプロ

銀行の認知症対応が柔軟に 家族が認知症になったら預貯金は引き出せる?お金の管理はどうすればいい?

家族が認知症になると、医療費や介護費など、お金のことも大きな問題となります。認知症に備え、家族が考えておきたいお金の対策を司法書士の池内宏征さんに聞きました。

池内宏征さん

次世代に負担ない相続対策「家族信託」の専門家

カテゴリから記事を探す

キーワードから記事を探す