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愛犬に遺産を。ペット信託とは?

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飼い主亡き後、ペットだけが残されてしまう事例も

愛犬に遺産を。「ペット信託」とは?

超高齢化社会の今、人だけではなく、ペットの寿命も伸びています。現在、犬が13.94歳、猫が14.45歳だそうです(2012年ペットフード協会調べ)。当然、飼い主亡き後、ペットだけが残されてしまう事例が生じています。ペットを家族同然に可愛がる高齢者が増えている中で、自分自身が万が一の場合や意思能力の喪失などでペットの飼育が続けられなくなるという不安を持っていたり、あるいは、その不安のためにペットの飼育自体を躊躇したりする人も多いようです。

反面、ペットと過ごすことが心や体のケアに効果的との理由から、ペットと共に入居できる介護施設がつくられたり、高齢者の自宅でのペット飼育を支援するサービスが普及したりしています。

遺産を一般の財産とは切り分け、飼育費として相続

そんな時代のニーズから生まれたのが「ペット信託」です。「ペット信託」は、信託法の民事信託の仕組みに基づいて手続きされます。具体的には、まず、飼い主を代表とした管理会社(合同会社が一般的)を設立し、飼い主の死後、ペットに残したい財産を事前にその管理会社に移しておきます。次に、自分が飼育できなくなった後の飼い主を受益者とする遺言書をしるし、「ペットの飼育のために」とした信託契約書を受益者と締結します。遺産を一般の財産とは切り分け、飼育費として相続してもらう仕組みです。

相続された後の飼育費が適切に使われているかどうかは、弁護士などの監督人がペットの飼育状況をチェックすることも可能です。

飼い主がいなくなったペットたちの処分も減らせる

さらに、「ペット信託」のメリットは、すぐにまとまった金額をペットのために用意することができない場合、「毎月積み立てる」「生命保険を活用する」といった方法をとることができることです。これまで金融機関に預けていた財産を管理会社に積み立てていくようなイメージのため、かなり取り組みやすい仕組みといえます。

最近のエンディングノートには「ペット」に触れているものが増えています。高齢者にとって、本当に大切な問題なのです。しかし、単純に遺言書に記載するだけでは相続争いが巻き起こり、ペットのために遺産が使われないことが多いのも実情です。

「信託」の仕組みを利用して財産を切り分ける「ペット信託」。飼い主がいなくなったペットたちが、残念ながら処分されてしまうようなことも減らすことができるとあって注目を集めています。

山口里美

相続で人の心と未来をつなぐサービスマインドの行政書士

行政書士

山口里美さん(行政書士法人みらいリレーション)

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