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「失恋休暇」がもたらす大きすぎる効果

失恋休暇やエコ休暇など「特別休暇」を制度化する企業が増加

「失恋休暇」がもたらす大きすぎる効果

先日、「失恋休暇」を制度化した美容院がマスコミに取り上げられていました。この例に限らず、近年、企業においてさまざまな「特別休暇」を制度化する動きがあります。企業が特別休暇制度を導入する理由と、制度化によって期待できる効果について考えてみます。

特別休暇とは、法定で定められている年次有給休暇や子どもの看護休暇などのほか、企業が独自に制度化した休暇を指します。よくあるのが夏季休暇や病気休暇、リフレッシュ休暇、ボランティア休暇など。ユニークな例としては、失恋休暇やエコ休暇、スクールイベント休暇、メモリアルデー休暇などがあります。規模が30~99人の企業においても、「55.8%が制度化している」と答えています(2012年「就労条件総合調査」)。では、なぜ企業は特別休暇を導入するのでしょうか?

現在、多くの市場において、商品・サービスは量的に充足していて、顧客の要求は法人や個人を問わず多様化・高度化の傾向にあります。その需要に応えるために、企業側もそれに見合う多様で高度な活動が必要となっています。その活動を支えるのは、能力とモチベーションの高い「人材力」です。中小企業が最も重要であると考える経営資源として、「技術」や「資金」をおさえて、「人材」(47.7%)を挙げていることがそれを裏付けています(中小企業庁「人材マネジメントに関する実態調査」2008年11月)。そして、「人材力」を高める一つの方法として、企業は特別休暇を導入しているのです。

「特別休暇」で期待できる2つの効果とは?

高い「人材力」を求める企業にとって、特別休暇を導入した場合の効果は具体的にどのようなものがあるでしょうか。それは、「社員のモチベーションと能力の向上」「企業力の強化」です。

(1)社員のモチベーションと能力の向上
特別休暇は、社員の人生の重要な出来事やポジティブな取り組みを応援するものであり、社員のワークライフバランスの確保に役立ちます。ワークライフバランスを確保することは、社員の自己実現や幸福な人生にとって不可欠の要素です。そして、社員の自己実現欲求を満たすことは、モチベーションの向上に貢献します(マズローの欲求5段階説)。

また、特別休暇の取得により、社員がリフレッシュし、心身ともに健康を保つことができます。そして、自己啓発・能力向上の時間を持てるようにもなり、人生の節目において、社員が自らのキャリアを見直すきっかけにもなります。旅行やボランティア活動に参加することなどで幅広い経験を積むことができ、感性が磨かれ創造力も強化されます。 さらに、休暇で不在になる社員の業務をフォローする同僚などの業務範囲が拡大し、能力が向上する効果もあります。

(2)企業力の強化
企業において、労働力人口の減少や少子化の流れの中で、事業存続のために優秀な人材の確保は大きな課題となっています。そのため、採用市場においては他社との差別化が必要です。「特別休暇」は、社員を大切にする企業のメッセージとなり、応募者に向けての大きなアピールポイントになります。

また、企業にとって企業イメージは非常に大切です。特別休暇を利用してボランティア活動やCRS活動を行った場合、地域社会における企業の存在感や知名度を向上させることができます。

三谷文夫

労使ともに幸せになるための労務管理のプロ

社会保険労務士

三谷文夫さん(三谷社会保険労務士事務所)

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