ゆとり世代をネガティブにするNGワード
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「君たちはゆとり世代だから」と、ひとくくりにした言葉は避ける
数年前から、俗にいう「ゆとり世代」が社会人の仲間入りをしています。私自身は「ゆとり世代」のことを個々の「人」としてではなく、「ゆとり教育が行われていた時代」ととらえています。そんな時代に育った若者を育成するときに気をつけたいNGワードを挙げてみました。
まず、本人たちが選んで「ゆとり教育」を受けたわけではありません。たまたま社会がそういう状況の時に育っただけであるにもかかわらず、全員をひっくるめて「ゆとり世代」という先入観を持たれることほど迷惑な話はないでしょう。ゆとり世代であっても、さまざまなタイプがいることは間違いありません。信頼関係を作るためにも、「君たちはゆとり世代だから」や「今どきの若い者は」といったような、ひとくくりにした言葉は避けましょう。また、先入観は判断を狂わせる大きな要因です。One of themではなく、only oneとしてかかわっていきたいものです。
「わかっていると思うけど」は新人を委縮させる
新人は、上司からの指示をどのような気持ちで受けているでしょうか?入社後半年~1年くらいで行う「新入社員フォロー研修」では、業種にかかわらず必ずと言っていいほど、下記のような感想が出てきます。
・指示そのものがよくわからない場合があるけれど、質問しづらいので何とか自分で判断したが、結果的に迷惑をかけてしまった。
・最初の頃は、指示されたことができないのではないかと不安で、名前を呼ばれたらドキッとしていた。
・言われたことに対して質問する勇気がない。
つまり、入社間もなければ間もないほど、仕事そのもの以前に、指示されていることがしっかりと理解できないことが少なくないのです。慣れてくれば「ツーカー」で伝わるものも、業務知識もほとんどなく、会社独自の慣習も全く知らない状況では、指示そのものが呑み込めないことは容易に想像できます。
そんな中で、質問しづらい傾向をさらに高めてしまうのが、「わかっていると思うけど」と前置きをしてから始まる場合なのです。「わかっていると思う」と言われれてしまうと、わからない自分の状態を余計に隠したくなるのです。新人を萎縮させないためにもこの言葉は避けたいものです。
世代を超えた共通の常識は見出しにくい。自分の若い頃と比べない
何かを注意する場合、「常識」や「ルール」という言い方は、育った環境や時代の違う世代間では、なかなか通じにくいものです。加えて、常識という言葉は、「君は常識がない」というニュアンスで相手に伝わってしまう厄介なものです。何気なく発している言葉が、相手を批判していることにつながります。
何をもって常識とするかは時代とともに変わってきます。特に、パソコンや携帯電話をはじめ、SNSなどが急激に発達してきた「ゆとり教育」の時代においては、世代を超えた共通の常識は見出しにくいかもしれません。一言で「常識」や「ルール」とまとめるのではなくて、「なぜ、それはいけないのか」と説明を加えることで、どのような環境で育っていようと、しっかりと納得することできるはずです。
また、どうしても上司としては自分の若い頃と今の新人の状況を比べて、良し悪しを判断する傾向が強いようです。上司側としては、自分の歩いてきた貴重な道のりなので当然のことなのですが、世代や育った環境の違う若者には理解できないことも多いでしょう。また、比べられることは、うれしいことではありません。
世の中は急激なスピードで変わってきています。時代にかかわらず、また、世代にかかわらず、大切なことはひとつひとつ丁寧に説明し、教えていくことで「継承」していくことこそ、私たち上の世代の役割なのかもしれません。
〝気付き〟によって自発的行動へ導く接遇マナー講師
浜田純子さん(株式会社モアグロウ)
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