残虐ゲームが子どもの心に与える影響
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暴力的なメディアは若年者に依存・うつ・攻撃性の増加をもたらす
小学3年生に人を銃で撃ち殺す場面などが含まれた「残虐ゲーム」を無理矢理やらせた容疑で、強要した大人を逮捕した、というニュースが報道されました。大人が子どもに何かを強要すること自体が問題ではありますが、ここでは残虐ゲームが子どもや若者などの心に与える影響について、今一度考えてみます。
残虐ゲームなど、テレビゲームを含む暴力的なメディアが子どもに与える影響については、銃社会である米国で心理学による継続した研究・議論が行われています。その結果の一つの結論は、暴力的なメディアは、若年者に依存・うつ・攻撃性の増加をもたらすというものです。一方、もう一つの結論は、暴力的なメディアには一定のプラス面もあるというもの。よく言われるのは、殺人などの暴力的なビデオゲームは、子どもに攻撃性のはけ口を与え、実際の暴力を減らす効果があるということです。
しかし、現在のところ、暴力的なメディアは若年者に様々な悪影響を及ぼすということが、心理学者による研究結果の中心です。なお、アメリカ心理学会は、ビデオゲームや、その他の双方向のメディアの暴力について、今までの研究の詳細な分析結果を今年度中にまとめるということなので、本格的な結論はそれを待ちたいと思います。
性暴力のゲームにさらされた子どもは相手を物化する
ただ、それを待たなくても確実に言えることが一つあります。それはメディアにおける性暴力の問題です。例えば、レイプなどの性暴力のゲーム。これは明らかに対象となる人(圧倒的多数の場合、女性または児童)を「物」とみなしており、その人の人格の尊厳を無視しています。そのような性暴力のゲームにさらされた子どもは、相手を物化する価値観をいつしか取り入れていくでしょう。
私は以前から、日本は性暴力に厳しくない国だと感じています。それは性犯罪(児童ポルノも含む)に対する刑罰の軽さに端的に現れています。たとえば米国では、強姦で懲役100年も珍しくありません。この背景には、被害者の大部分である女性や児童の人格を軽視する態度・価値観があるのではないでしょうか。ちなみに、米国では最も忌み嫌われる犯罪は、幼児に対する性的虐待です。そのため、その犯人が刑務所に入り、その事実が他の収容者に知れると「仲間から殺されてしまう」ということが少なからず起きています。
結論として、残虐ゲームが市場に出回っている現状は、実際の社会情勢を反映したものであり、また、そのような現状を作り出しているのが大人であることを踏まえれば、私たち大人は、自分自身の人間観を再確認する必要があるのではないでしょうか。
心理相談・カウンセリングのスペシャリスト
村田晃さん(うつ心理相談センター東京)
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