「さっぽろ雪まつり」を北海道活性化につなげるには?
オフシーズンが長い北海道。「雪まつり」は利益確保に欠かせない
今年も「さっぽろ雪まつり」は盛況のうちに終了しました。雪まつりには、その華やかな姿の裏側に、雪像を建設する自衛隊の協力や雪の確保、また、その運搬など、市民や観光客には見えない苦労がたくさんあります。雪まつりも65回を数え、札幌の観光業界では冬の利益確保にはなくてはならない行事となっています。平成23年以降は来場者数が伸びてきていますが、第50回以降は長い間、来場者数の減少がありました。観光に直接携わっていない人からは「雪まつり期間の札幌のホテルは便乗値上げをし、ひどい所では期間外の3倍くらいの宿泊料金を設定する」と言われたこともありましたが、実際にはそこまでの設定をすることはなく、とても残念な意見だと感じています。
北海道の観光は、オンシーズンとオフシーズンとに分かれています。オンシーズンは夏場の気候の良い時期に設定されています。以前はゴールデンウィークから体育の日までがオンシーズンおよびショルダーシーズンという位置づけでしたが、今では6月に開催される「よさこいソーラン祭り」の頃から9月の中旬くらいまでがオンシーズンとされています。この間、約4か月。つまりオフシーズンが8か月もあるわけです。1年間のうち3分の2がオフシーズンという現状なので、雪まつりの1週間だけでもオンシーズンとして設定しなければ、北海道・札幌の観光業界が成り立たなくなるのが現状なのです。
本州発の雪まつりツアー、札幌滞在型から周遊型へ転換を
では、雪まつりを旅行業界と北海道全体の観光の底上げにつなげるためには、どのような協力体制を作れば良いのでしょうか?実は平成8年頃の本州発の雪まつりツアーと昨今の雪まつり商品には大きな違いがあります。当時は雪まつりの会場である札幌への宿泊日数は1日という商品が多かったのです。雪まつりのタイトルでユーザーを誘致し、札幌以外の温泉地や観光都市への周遊をするパターンでした。しかし、今は札幌滞在型が増えたことにより、経済効果が地方へ波及しにくくなっています。
これを以前のように周遊型を増やすことができれば、北海道全体に再び良い傾向が生まれることでしょう。たくさんの人たちに支えられ、多額な費用をかけて実施する「雪まつり」。札幌だけではなく北海道全体へ観光ユーザーを増やすイベントと位置づけし直すことが、ホテル・旅代理店・航空会社の収益向上につながり、北海道活性化を実現すると考えています。
収益改善に貢献するホテル運営・再生のプロ
佐藤公一さん(ティー・ファクトリー株式会社)