「おれおれ詐欺」激増、巧妙化する手口を暴くには?
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手口が巧妙化する「おれおれ詐欺」。被害額は過去最悪に
「おれおれ詐欺」などの「振り込め詐欺」の被害額が昨年、過去最悪を記録しました。あれほど警察や金融機関などが注意を呼びかけているのにもかかわらず、なぜ被害が増加しているのでしょうか。その理由の一つに、手口の巧妙化が挙げられます。
最近、多いのは、犯行に及ぶより前に「電話番号が変わったので登録しておいて」という電話やメールを送り、電話番号の登録変更をさせる手口です。この場合、電話番号を変えるだけなので特に怪しまずに変更してしまうことが多いようです。そして、登録を変更させてしばらく期間が経過してから犯行に及びます。そのときは、登録した「息子」から電話がかかってくるので、不審に思わず信じてしまうのです。
この手口に騙されないためには、「息子」から「電話番号が変わった」との連絡を受けた時点で、本当に息子からの連絡かどうかを確認しなければなりません。連絡を受けたらすぐに以前の電話番号に電話をかけてください。本当に変わっていれば通常はつながりません(直ぐに別の人に割り当てられることはないようです)。たった、これだけで予防できます。
「劇団型」の手口も増加。慌てず警察署か弁護士会に確認を
また、近年の「おれおれ詐欺」の特徴として、警察官や弁護士などを名乗る複数の人物が登場する「劇団型」と呼ばれる手口も増えています。例えば、「警察官の〇〇です」「弁護士の〇〇と言います」などといって、電話口に複数の人物が登場します。これは、既に警察や弁護士が動いていて切羽詰まっている感じを演出すると同時に、警察官や弁護士を名乗ることで信用性を高めようとの狙いです。
この手口に騙されないためには、警察官を名乗った場合は、必ずどこの警察署なのか(県警本部なのか〇〇警察署なのかを詳しく)と警察官の名前を尋ねてください。そして、直後にその警察署へ電話をかけてください。電話で内容をかいつまんで話せば詐欺かどうかは直ぐに判明します。
また、弁護士の名前が出れば、フルネームと所属弁護士会を尋ねてください。そして、直後に所属弁護士会へ電話するか、日本弁護士連合会または各地弁護士会のホームページで弁護士の名前を検索して実在するか確認するようにしましょう。本物の弁護士であれば必ず登録されています。ここで注意してほしいのは、実在の弁護士の名前を騙ることもあり得ますので、その弁護士の法律事務所へ電話をかけてみて内容を話すようにしてください。これで確実に真偽が判明します。
丁寧なヒアリングで問題解決へと導く法律のプロ
木野達夫さん(宝塚花のみち法律事務所)
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