送りつけ商法に遭遇したら?その対処法
- カテゴリ:
- 法律関連
商品を勝手に送りつけられただけでは、代金の支払義務は発生しない
「送りつけ商法」とは、注文していない商品を勝手に送りつけ、代金を一方的に請求する商法のことで、「ネガティブ・オプション」とも呼ばれています。
まず、注文していない商品を勝手に送りつけられただけでは、購入の義務はなく、代金の支払義務も発生しません。ただし、送られてきた商品を使用したり、消費した場合は、購入を承諾したことになり、代金の支払義務が生じます。この点を第一に押さえてください。
では、送られてきた商品はどうすれば良いのでしょう。商品の所有権は販売業者側にありますから、すぐに廃棄処分などをすることはできません。「料金受取人払」で返送するのも一つの方法ですが、業者側が受領せず荷物が戻ってくるトラブルもあり得ます。
無断で送られてきた商品は、とりあえず保管。請求書の入った封筒は開封しないように
よって、無断で送られてきた商品は、とりあえず保管しておきましょう。そのまま14日間が経過すると、業者は商品の返還請求権を失います。また、「14日間は長い」と感じる場合は、商品の引き取りを業者に文書で請求しましょう。請求日から7日を経過すれば、業者の返還請求権はなくなります。これで、消費者は商品を自由に処分できるようになるわけです(特定商取引法59条)。ただし、これはあくまで消費者と販売業者との関係の話です。会社などの事業所に送られてきた商品が事業用のものである場合、「特定商取引法」は適用されません。購入を承諾しない限り売買契約は成立しませんが、業者が引き取りにくるまで商品を保管しておく必要があります。事業者は一般消費者と同様に保護されるわけではないことに留意してください。
業者が商品を引き取らず、その後も執拗に請求書が送られてくることがあります。請求書の入った封筒は開封せず、「受領拒否」と明記して返送する方法が有効でしょう。また、業者に対しては電話連絡をしない方が賢明です。彼らは、消費者を丸め込むための「マニュアル」を整備していますので、変なところで言質をとられてしまい、商品購入を承諾したかのように強弁されるおそれがあります。
代引きを悪用するケースも。「受領拒否」が大原則
最近の「送りつけ商法」で目立つのは、「代引き(代金引き換え)」を悪用するものです。業者が勝手に送り付けてきた商品であるにもかかわらず、消費側で、家族の誰かが注文したものと勘違いして代金を支払い、商品を受け取ってしまうトラブルが増えています。
この場合、「錯誤」で代金を支払ったわけですから、売買契約は有効に成立していません。業者には商品引取義務と代金返還義務が残ります。しかし、このような悪徳販売業者は、「雨後のタケノコ」のように現れては「蜘蛛の子を散らす」ように逃げてしまいますので、いったん支払ってしまった代金を現実に回収することは極めて困難です。「代引き」の荷物が届いた場合は、十分に商品を確認したうえで慎重に代金を支払うよう心掛けてください。注文した覚えのない商品は「受領拒否」が大原則です。
職人かたぎの法律のプロ
藤本尚道さん(「藤本尚道法律事務所」)
関連するその他の記事
不正競争防止法の改正その2(後編)
得重貴史さん
国際法務・知財に豊富な経験とスキルを持つ弁護士
不正競争防止法の改正その1(メタバース規制も視野に)
得重貴史さん
国際法務・知財に豊富な経験とスキルを持つ弁護士
相続登記の義務化と手続きの簡略化で所有者不明土地の問題解決へ。放置物件の有効利用は進むか?
能登ゆかさん
相談者の心に寄り添う司法書士
あっせん団体「ベビーライフ」廃業で問題に。特別養子縁組とは?海外に比べ養子制度が浸透しないワケ
半田望さん
市民の法律問題を一緒に解決する法律のプロ