被災3県の園児25%が問題行動。改善へ導く対処法
子どもの問題行動は、子どもたちからのSOS
子どもの問題行動は、自分の気持ちを言葉にできない子どもたちからのSOSです。そのような不適切な行動を通して「注目を得たい、わかってほしい、居場所がほしい」と訴えているのです。子どもも大人と同じように不安、心配、恐怖、腹立ちという感情を持っています。しかし、感じてはいるのですが、言葉で上手に伝えることが十分にできません。それを行動で表現しているのが、問題行動なのです。
「爪かみ」「指しゃぶり」「頻尿」「夜尿」「癇癪(かんしゃく)」「理由もなく他の子を叩く」「噛みつく」など大人が気になる行動は限りなくあります。多くの場合、居合わせた大人(親、祖父母、保育者、教師)はそれを指摘し、止めるように注意を促します。注意をしても改善がされない場合、強く叱ったり何らかの罰や脅しを与えたりするかもしれません。そうした対応は一時的には効果があるかもしれません。しかし、全く効果が無いか、あるいはしばらくして同じ行動を繰り返す場合が多々あります。不適切な行動に声をかけられ続けると「叱られてでも良いから自分を見てほしい」と無意識に思ってしまうのです。「指摘される」という立場が居場所になっていくのです。そのようにして居場所を得ることを体得すると、それは形を変えてその態度を持ち続けます。
問題行動には声をかけず、肯定的な言葉で注目を与え続ける
問題行動を改善する効果的な対応方法があります。まず、大人が子どもの不適切な行動を見たときの「自分の感情」に気付くことです。「イライラする」「心配する」「不安になる」「腹が立つ」など。「自分の感情」は自分自身で処理しなければなりません。問題行動をしている子どもに、その感情を持って対応しないことを意識します。
次に、問題行動には声をかけないでおくことです(他者に怪我をさせるような被害を及ぼす場合には叱らないで、その行動を止めるようにします)。そして、肯定的な声をかけます。集団の場所であれば「おはよう」「ありがとう」「頑張って食べたね」「頑張って描けたね」「さようなら、また明日!」のような何気ない声かけを続けます。家庭であれば「行ってらっしゃい」「お帰りなさい」「ありがとう」「助かったわ」と、声をかける時に抱きしめることも効果的です。
問題行動の裏に隠れている「注目を得たい、わかってほしい、居場所がほしい」という気持ちに対して肯定的な言葉をかけるによって「あなたのことを見ているよ」と伝えるのです。幼児であれば、短期間で不適切な行動は改善されるでしょう。肯定的な注目を与え続ける「勇気づけ」が問題行動を減らす近道です。不適切な行動は子どもたちからのSOS。まず、それに気づいてあげましょう。
アドラー心理学&発達性トラウマセラピスト
福田 シェシャドゥリ 育子さん(松戸こころの相談室)