巧妙な投資詐欺に騙されないために
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大都市圏の高齢者を中心に投資詐欺が多発。騙しの手口、巧妙化
昨今、「振込め詐欺」の被害がなかなか減少しないといったニュースをよく耳にします。その手口も巧妙化しており、そこから派生したものとして、大都市圏の高齢者を中心に「未公開株」「私募債」「ファンド」などの取引に関連した投資詐欺も多発しているようです。
今回、取り上げる「未公開株」詐欺については、以下のような種類があります。
■単純に「上場確実です。必ず儲かります」などといって購入をもちかける。
■さらに発展して、持ちかけられた購入を断ったところ、後日、別の業者を名乗る者から連絡が入り、「もしも購入されたら値上がりが確実だから、高く買い取らせてください」などと言って、すでに断っていた元の業者からの購入を決意させようとする(いわゆる「劇場型」)。
■別の業者ではなく、金融庁などの公的機関の職員を名乗る者が「その株は私も欲しいくらいですよ」などと言って、元の業者からの購入を決意させようとする(いわゆる「公的機関装い型」)。
■すでに被害に遭った高齢者に対し、「未公開株を持っていませんか。手数料をお支払いいただければ、騙された購入代金を取り戻すことができますよ」などと持ちかけて、さらに手数料を騙し取るもの(いわゆる「被害回復型」)。
金融庁などの公的機関が未公開株の取引に関与することは一切ない
では、「巧妙な投資詐欺」の被害に遭わないためには、どうしたら良いのでしょうか。まず、これらの勧誘は、基本的には電話やダイレクトメールといった直接には対面しない形式のものがほとんどなのですが、「未公開株」の販売ができるのは「登録を受けた証券会社」と「未公開株の発行会社」に限られていることや、「登録を受けた証券会社」以外による広告や勧誘自体が違法とされていることを知っておく必要があります。仮に証券会社を名乗ったとしても、金融庁のホームページなどで実際に存在する登録業者なのかどうかを確認しましょう。
次に、金融庁や証券取引等監視委員会などの公的機関が、未公開株の取引に関与するなどということは一切ないことを知っておくべきです。実際に詐欺で使用された団体の名称には,「証券取引監査協会」「証券業取引協会」「証券取引監視協会」「証券保証協会」などがあるようですから、これらの名称に惑わされて未公開株の取引に手を出すようなことはしてはいけません。
少しでも怪しいと感じたら公的機関に通報・相談を
もっとも大事なことは、「うまい話」などあるはずがないことを肝に銘じることです。「うまい話」は、通常は他人に話すなどということ自体があり得ないのですから、最初から疑ってかかることが重要でしょう。もしも、未公開株の取引を勧誘されたり、かつての取引に関連して被害の回復を持ちかけられたりして、少しでも怪しいと感じることがあった場合には、金融庁の金融サービス利用者相談室(0570-016811)、日本証券業協会の「未公開株通報専用コールセンター」(0120-344-999)など、公的機関に通報・相談することを強くお勧めします。
特に、悪徳業者のターゲットは、お金を持っている高齢者です。日常的に接している身近な人が、高齢者の行動に変化がないか、日ごろから注意を払っておく必要があるといえるでしょう。
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