偽物ブランド、購入者も罰則の対象に?
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「偽物ブランド品」を売る行為は、商標法違反にあたる
海外旅行先で「偽物ブランド品」に出会った経験はありませんか?私は韓国旅行の際、現地ガイドさんに「偽物ブランド品専門店」へ連れて行かれたことがあります。本物そっくりのバッグや財布などが堂々と売られており、「購入してくれれば、偽物だと絶対にバレないよう、本物のブランドマークやタグを取り付けてあげる」と、かなり強引に勧られました。
「偽物なら要らない」と断っても、簡単には引き下がりません。「本物と変わらない品で、値段は安いし、絶対にバレない。奥さんにプレゼントすれば喜ばれる」と流暢な日本語で畳みかけてきます。「良いものが安くて、みんなが喜ぶのに、あなたはなぜ買わない?」って、それは「偽物をプレゼントしても奥さんは喜ばないから」なのに。それでも「黙っていれば奥さんにはバレない」などと、執拗に勧められ、本当に辟易しました。もちろん、断固として買いませんでしたが。
このような「偽物ブランド品」を売る行為は、他人の商標権または専用使用権を侵害するものとして商標法違反にあたり、我が国では10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、または、その両方が科せられます。日本以外でも、韓国や他の諸外国でも同様の法律がありますので、違法行為であることに変わりはありません。
海外で買った偽物ブランドを日本に持ち込む行為は関税法違反
ところで、「偽物ブランド品」を売る行為が犯罪になるとして、買う側は罪にならないのでしょうか。この点、純粋に個人使用の目的で個人的に買う行為については、原則として商標法による処罰の対象ではありません。
しかし、海外で買った「偽物ブランド品」を日本に持ち込む行為は、知的財産権を侵害する物品の輸入行為として関税法違反となります。10 年以下の懲役もしくは 1000万円以下の罰金、または、その両方が科せられますので、商標法違反と同様に「重罪」です。税関で「偽物ブランド品」の持ち込みが発覚して、差し止めのうえ物品が没収・廃棄処分された場合でも、輸入の「未遂」は処罰対象ですから、関税法違反の罪に問われないとも限りません。
海外のWEBサイトからの購入でも関税法違反の問題が生じる
気をつけたいのはインターネットでの購入です。「偽物ブランド品」を海外のWEBサイトから直接購入する行為は「個人輸入」にあたりますので、同様に関税法違反の問題が生じます。たかが「偽物ブランド品」などと、あなどってはいけません。知的財産権の侵害物品について、税関では拳銃や麻薬と同様に「取り締まり」を厳格化する傾向を強めているからです。
税関で差し止められた「侵害物品」の最近の実績としては、商標権侵害物品が最も多く、とりわけ有名ブランドのマークを付けた「偽物ブランド品」が全体の90%以上を占めている事実をどうかお忘れなく。
職人かたぎの法律のプロ
藤本尚道さん(「藤本尚道法律事務所」)
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